この六月、大店法に代わり、大規模小売店舗立地法が施行され、「街づくり三法」が出そろう。本県においては、その施行前にジャスコを中心とするかけこみ出店ラッシュが続いている。
そうした中、静岡市の中心市街地では長崎屋静岡店と生活創庫静岡店が相次ぎ、八月の撤退を表明した。そして、その後すぐ、長崎屋の会社更生法の申請が発表された。
個人消費が低迷する中、大・中・小、新業態入り乱れての商業戦争は厳しさを増している。中小小売店の競争相手も郊外の大型店に限らず、コンビニ、一〇〇円ショップさらにインターネット販売などへと様変わりし、商業地図を大きく塗りかえようとしている。
なかには、インターネット革命で、小売店不要論を唱える者まで出る始末だ。もちろん、それらの影響や逆に活用の研究も重要なことではある。
しかし、それぞれの需要は進んでも、その場の雰囲気を味わったり、味覚や臭覚、触覚を含めた五感を伴い得られる喜びと体験、すなわち商店街の魅力を人々が求め続けることは変わることがないだろう。
昨年には中心市街地活性化法が施行され、島田をはじめ県内各地で街づくりへの新たな挑戦も進められている。
今、商店街には、店の個性の演出が求められていると同時に、街を一つのショッピングモールとしてトータルに捉えたセンス、そして何よりそれを実現化する共同の力が特に重要になっている。その中で、消費の主役である地域住民の支持を失えば、将来の展望はない。
大型店の出店調整ルールも経済規制(中小商店の保護)から社会規制(適正な街づくり)に変わりつつあるなど、取り巻く環境はことに慌しい。
しかし、経済や施策が変貌しようとも、中核にあるものは、決して変わってはいない。
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