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戦略的連携への挑戦

パネラー

協業組合オー・ド・ヴィ
理事長 
佐野 剛一 氏


協同組合ニイイチ
  物流センター

理事長 石川 宏 氏


西新道錦会商店街
    振興組合

理事長 安藤 宣夫 氏


コーディネーター

中央会水上専務理事


水上 本日は、全国約4万ある組合の中でも先進的な組合、それも業種、規模、歴史も様々な組合の理事長をお招きしました。最初に皆さんの組合の概要や経緯などについてお願いしたいと思います。(組合内容については十〜一一ページ別表参照、発言内容一部割愛)

佐野 水の量り売りの原点は、ペットボトルの水はガソリンよりも高いことに疑問に感じたことです。
 この四月からは、京都生協で販売を開始、順調な売上げを示しています。当面は、京都、大阪などの関西地区の生活協同組合店舗などに設置して消費者の反応を調査した後、全国のスーパー、病院、ガソリンスタンドなどへ普及を進めればと思っています。

石川 平成四年に施行された物流効率化法の全国二番目の認定を受け、平成七年二月、総事業費十四億三千万円の共同物流センターが完成しました。
 組合員各社とも二%から三%物流費が削減。私の会社もセンターが出来てからの三年半、売上げは五割の伸びですが、利益は三倍と損益分岐点を下げる効果が絶大だったと思います。

安藤 私どもはありふれた地域密着型の商店街ですが、組合の枠だけでなく、地域と共生するために何をなすべきなのか。ローカルな視点、グローバルな視野ということを大切にしている。
 商店街はいわゆる地域のブランド。何々商店街の〇〇ですということによって地域の皆さんに信頼、信用を売り込む。こういう経営戦略をしてきている。
 二一世紀については、高齢化社会に対して、高度情報化社会に対して何が出来るか、しなければならないことは何かを銘記している。それに、これからの商店街が地域に密着し、生き残っていくためには、従来の行政主導ではなく、自ら提案する能力が必要になる。 
 そこで当商店街では高齢化社会、情報化社会を見据えてICカードやファックスを利用した情報ネットワークを構築しました。

水上 以下は、質問形式でお伺いしたと思います。
佐野さんの組合は市場開拓のため、協同組合から協業組合に組織変更しています。石川さんの組合も経営的要素が強いかと思いますが…。

石川 我々の組合が他の組合と全く違うのは、それぞれが取引先ですので、自社の利益だけでなく、組合員相互が儲からないとうまくいかない組合だということです。みんながよくなろう、汗を流そうというところから出発している。

水上 正職員九名に対し、パート一二〇名という正社員とパートの比率についても伺いたいのですが。

石川 すぐ隣が住宅団地なので、パートはいつでも集められる。機械化が進んでいるので一時間もしたらパートでも仕事につけることができます。扱い品のギフト、米、茶は極めて季節変動が激しい。出荷に合わせてパートをとることによりローコストに押さえています。

右手にロマン、左手にそろばん

水上 安藤さんに。 空き店舗対策についてはどうですか。

安藤 空き店舗を利用して、訪問看護婦ステーションをつくり、看護婦や保健婦に常駐してもらったり、ホームヘルパーの基地をつくることを考えています。
 いわゆる行政的福祉サービスだけではだめ。在宅ケアを中心としたヒューマンコミュニティをいかに商店街が作り上げていくか。組合員には「右手にロマン、左手にそろばん」といっている。
 二一世紀に生き残るひとつのポイントは役員会の責任感。地域にとってかけがえのない商店街、商店はどういうものか。
住み続ける町に対してその商店街がその地域で提案する能力があるかないか。組織にあっては、リスクと経営体のあり方に対して本音で議論ができているか、が問われている。
 ローカルでオリジナリティ。これが欠けていてはだめ。一五五の店に対して、どういう店舗にしたいか。その上で役員会は何をしなければならないか、考えていかなければならない。その努力がされているのが他の商店街との一番大きな違いだと自負している。

水上 時間がなくなってしまいましたが、最後にこれだけは言っておきたい点があれば。

佐野 水の販売について、ごみ・ペットボトルの問題にかなっているという面もあったとは思うが、厚生省が機械そのものを喫茶店営業とし,二〇g持って帰っても喫茶店だから何の抵触もないという大胆な発想で認可してくれたことは画期的なことです。
 この新しい事業分野を切り開いたという意味で融合化の一つの役割を果たしたのは成果だと思います。ただ、我々としては事業化について、これらが本当のスタートになりますが・・・。

求められる役員会の重み

水上 時間になりましたので、まとめをしなければならないのですが、組合の役員会というのは組合員の意見を充分検討でき、取り上げられる考える役員会。安藤さんがおっしゃっていただいたことがひとつのヒントとなるかと思います。
 3つの組合とも特別な人が特別なことをやっている訳ではない。それぞれの組合で、組合というのは、工夫するとここまで出来るのか、そういった実例をみる思いがしました。元気の出る、夢のあるパネラーということでおいでいただきましが、何らかのヒントを得ていただいたことかと思います。


中小企業静岡(1998年 11月号 No.540)