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「労働」 |
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■中小企業において、「再雇用制度」を導入する企業が増えていると聞いております。 どういったものなのか、その制度のしくみと導入上の留意点についてお教え下さい。 一、最近の中小企業における導入状況 ご承知の通り、今年の四月から法律で定年年齢が六〇歳以上に引き上げられました。定年後も引き続き同一の企業で働く継続雇用制度としては、次の二種類があります。 (1)再雇用制度 (2)勤務延長制度 従来、中小企業では再雇用制度よりも勤務延長制度を導入する企業が多かったように思います。しかし、定年年齢の引き上げ、不況を反映しての資金繰り等の影響から中小企業でも大企業同様、六〇歳の定年を機会に雇用契約を一端打切り、従前の処遇(賃金・賞与等)を見直し再雇用する傾向が強まってきています。又、六五歳まで健康で働きたいとする人が多いこと、二〇〇一年から年金支給開始年齢が段階的に引き上げられること、さらに、高年齢者雇用安定法では六五歳まで継続雇用を企業の努力義務としていること等々から、再雇用制度を導入する企業が今後さらに増えていくものと思われます。 二、再雇用制度のメリット ●企業側のメリット (1)企業内で長年培った専門的知識・技能・経験を長期に活用できる。 (2)少子化を反映して、若年層の採用は中小企業にとって、今後益々厳しくなるが、 その代用措置となる。 (3)企業のイメージアップ(人に優しい企業)につながる。 (4)在籍労働者の勤労意欲が向上する。 ●労働者側のメリット (1)慣れた職場で引き続き仕事が出来るので、人間関係面でストレスが少なくて済む。 (2)退職前の知識・技能・経験をそのまま引き続き活用することができる。 三、再雇用制度のしくみ (1)新たな雇用契約が必要 再雇用制度とは、定年年齢に達した高年齢者を一端退職させ、後に再び雇用する制度です。一般的に雇用契約期間も限定されているため、身分は「嘱託」等として雇用されるケースが多くなっています。 (2)再雇用制度のポイント及び具体的なしくみ、内容 1.就業規則に定年後の再雇用に関する規定を設ける。 〈参考例〉 (定年等) 第○○条 従業員の定年は満六〇歳とし、定年に達した日の属する月の賃金締切日をもって退職とする。ただし、定年に達した従業員について、本人の希望により一定の期間を再雇用する。 2.適用する者の範囲を定める。 一般的には「会社が必要と認めた者に限る」とする企業が多い。公的助成金を受けようとする企業は、「希望者全員」としておくことが必要である。 3.雇用期間を定める。 雇用期間を一年間としている企業がほとんどである。しかし、六〇歳以上の場合、来年四月から最大三年間とすることができる。本人の希望、健康状態等を考慮し契約を更新するのが望ましい。 4.適用する者の最高年齢を定める。 何歳まで契約を更新するのか、という問題である。「六五歳まで」とする企業と「定めていない」とする企業が実務上一番多い。 5.勤務形態を定める。 「定年前と同じ勤務日数、勤務時間」とする再雇用者が一番多く見られるが、実務上、軽い勤務形態を希望する人の割合も増えているように思われる。今後は、複数の選択肢を用意するなど、本人の意向を尊重した制度設計が望ましい。 6.処遇―とりわけ賃金の取り扱いが一番の課題 処遇を見ると、仕事の内容が「変わらず」、役職、賃金、賞与については「変わる」とする中小企業が最近の一般的傾向である。賃金、賞与は「下がる」のが普通である。どの程度に下げるのか、各企業において賃金、賞与の取り扱い、見直しが最大の課題となっている。在職老齢年金や高年齢雇用継続給付の支給を考慮し、賃金を決定している企業が増えてきている。 四、導入上の留意点 導入する場合、デメリットに対する対策も必要です。加齢に伴うデメリットとして次のような点が指摘されています。 (1)健康面、体力面での衰え(労災事故の不安)(2)技能面での職業能力の低下(3)意識の停滞(4)人件費の増大(5)能力の個人差が大きく、一律管理が困難(6)再雇用者の中に不適格者がいると、その人のモラール低下が若年者のモラールに伝播しやすい等々 このような特性を考えると、きめ細かい労務管理が必要です。また、契約更新の回数が増えるにつれ、デメリットの部分が増えてくるのが自然です。そのため、これらの特性を踏まえ再雇用契約の条件(特に賃金、勤務時間、勤務日数等)を更新毎に見直すことが肝要です。又、国による雇用支援施策(高年齢雇用継続給付、継続雇用定着促進助成金)の活用も有用です。 |
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