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下請企業に求められるもの


 今年は長雨が続いた。梅雨明け宣言なしといった珍事が東北で起きたかと思えば、秋雨前線は、長期に停滞したままの異常気象となった。
 そして、景気といえば、こちらも不況前線が長期に停滞したまま。自動車、電気など中核企業までが軒並み業績を悪化させ、生死をかけた大リストラが進行中である。これはとりも直さず下請中小企業に深刻で大きな影響を与えている。
 既に親企業は「内製化」「海外への生産シフト」「部品の共通化」「部品点数の減少」などその生産、購買戦略を変化させて来た。加えて、一層のコストダウンなど親企業からの要請は一段と厳しさを増している。
 そうした中、先般、本会の東部地区の役員会で下請けを中心とする製造業の役員諸氏から大変元気で威勢の良い話を聞いた。さすが組合をリードする企業と感服した次第である。
 その一方で仕事量が減り、コストダウンを吸収できず、苦況にあえぐ下請企業も多く、廃業や倒産に追い込まれている。
 これは親企業からの要請に対応できる企業とできない企業、勝組と負組がはっきりする二極分化現象がより顕著になっているからに他ならない。
 下請構造も重層的でピラミッドの縦型から水平でネットワーク型へと大きく変容している。親企業の下請けの選別も進んでいる。下請けがこの大変動期を乗り切るには、下請け取引きの役割をしっかり認識し、独自技術を磨き、自らを売り込む提案型企業に脱皮して行かなければならないことは言うまでもない。現状を打破する合併や脱下請け、企業間の連携なども視野に入れた思い切った経営戦略が必要だ。
 戦略と決断…。そこに新しい道が拓けてくる。

静岡県中小企業団体中央会・会長

中小企業静岡(1998年 11月号 No.540)