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8



 
湖西市谷上商業協同組合


 
若い力を結集 商業集積ゾーン“アルカミーノ”



              
〒431-0431 湖西市鷲津3387
               TEL 053-574-0300

 




▲今年十月に一周年を迎えた組合施設


ユニークな外観が特徴

 湖西市の若手商業者五人が商店街を抜け出し、湖西谷上商業(協)を設立。専門店集積施設“アルカミーノ”を昨年十月に同市鷲津の谷上地区にオープンし、一周年を迎えた。
 施設は、多面体の建物を通路で結び中央部にはパティオと呼ばれる自由空間の中庭を設けたユニークな外観。施設内には、花やカメラ、生活雑貨、レストラン、婦人服小売業など地元を中心とした十七の専門店とオフィス。敷地面積は約千九百平方メートル、店舗面積は約千三百平方メートルに及ぶ。
総事業費は約四億円。
 アルカミーノの語源は、“完成イメージのモチーフとなったイタリア郊外の街アルベロベッロの”アル“と円筒形の建物からイタリア語の”煙突“という意味の”カミーノ“を合わせたもので、歩(ある)きながら、買(か)えるよ、見(み)られるよ、飲(の)める食べられるよ”の頭文字を合わせ、店舗のコンセプトを表記したものでもある。


▲研修会を通じ組合員の資質の向上を図る



湖西の文化発信基地を目指す

 湖西市を取り巻く商業環境は駅前商店街から郊外へと移っている。日常生活品の購入以外は、浜松市・豊橋市への流出傾向にある。
 また、時代の変化とともに消費者は楽しむ感覚のショッピングへと消費志向が変化している。
 そこで従来のような単なる個店の集まりではなく文化の香りや四季の風を感じることのできる憩いのある空間が今後の生き残り策であると考えた。

前向きな発想と組合員家族の協力が大きな要素

 この考えをもとに、湖西市商工青年部のメンバーが中心となり平成四年八月、「湖西市商業維新会」が発足。商業のあり方を目的とした研修会や融資制度について継続的に数年間研究を重ねた。
 この間には発足当初は約三十名ほどいたメンバーがほんの数名にまで減った時期もあったが、残った五人で平成八年六月湖西市谷上商業協同組合を設立。当時の平均年齢は三十七歳。「仲間で励まし合い夢を語らい前向きなことしか話さなかった。同時にメンバーの家族の協力と理解が得られたことも大事な要素であった」(大石理事長)しかし、「挑戦なくして成果なし」を合い言葉にグループ活動を推進。現在に至った。
 組合の基本理念は、お客様と共に「サービス」というコミニュケーションを通し「夢」「感動」「文化」を創造できる空間を目指すこと。基本コンセプトは、施設とサービスを通し非日常空間を提供できる街や地域商業をリードし情報発信基地的な役割を担う街である。
 組合の建物は、平成九年度県都市景観賞の受賞を受けた。建物中庭のパティオは、演出に一役買う。
 それは各店舗が四季を常に意識し、花を効果的に配置するからである。
 現在、パティオをコミニュティ広場として活用し、各種イベント、フェスティバルの開催、音楽家(ストリートミュージシャン等)を育てることを企画実行している。ソフト面では、情報発信基地としてのアルカミーノをプロデュースする。各テレビ局及びマスコミ関係にもアピールしている。

▲「情報発信基地を目指す」と語る
大石理事長(左)と西郷専務理事(右)。



一年を通しての組合活動の成果

 この一年間の来館者は二二万人。予想以上の反響であった。組合で調査したアンケートで分かったことは、二十代から四十代の女性が大半で時には流行に敏感な女子高生も大事なお客様となること。
 売り上げは全館合わせて約四億円。地元密着型の店舗になると予想されたが、湖西市内のお客様が四割、市外のお客様が六割と市外のお客様も多数来館。商圏も磐田から岡崎までと広範囲にわたっていること等はうれしい誤算であった。

商業の激戦地

 従来、地域との付き合いを大事にするその住民性から湖西市は、大型チェーン店が進出しても、マニュアル的サービスは、通用せず撤退を余儀なくされることが多かった。
 しかし、そのような中で、今年十月にかけて組合から五百メートル以内に、ジャスコ等の大型商業施設が次々とオープン。ますます商業環境は厳しくなっている。
 「組合としても生き残りをかけてイベント活動、従業員教育、他の大型店との連携、施設の充実を図りたい。また施設の新鮮なイメージを継続的に発信し、お客様に最高のサ―ビスを実行していきたい。」(大石理事長)


中小企業静岡(1998年 11月号 No.540)