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新たな枠組として大店立地法などが成立

 こうした背景の中で、今年の五月、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、改正都市計画法の三法が成立した。
 うち、衰退する地方都市の中心市街地に再びにぎわいを取り戻すことを目的とした中心市街地活性化法は七月に施行されている。通産、建設など十一省庁が連携し、平成十年度分だけで総額一兆円の事業費を投じ、地域の街づくりを支援するといわれる。
 県でもこれを受けて八月初めに庁内の各関係各部局で構成する中心市街地活性化対策連絡協議会を設置した。
 同法では、市町村が国の基本方針に基づいて総合的なまちづくりの基本計画を策定し、各省庁の活性化関連事業の支援を受けながら市街地整備や商業活性化事業を一体的に推進する。土地区画整理や駐車場などの商業基盤整備、人材育成やイベントなど幅広い活性化事業に有利な補助や融資を受けられることもあり、大型店の撤退や人口減少などに悩む中心市街地の活性化への期待も大きく、浜松、掛川、島田、磐田、菊川などの市町村が基本計画策定に乗り出している。国は市町村の基本計画について、先進性、独自性、地元の同意がどれだけ得られているかなどを精査したうえで、サポート役に徹するとの基本姿勢を示している。

地域の独自性を尊重

 大規模小売店舗立地法(大店立地法)については、平成十二年六月の施行が見込まれている。


■大店法と大店立地法(新)の相違店

 
大 店 法
大店立地法
 主な目的  中小小売業の保護  地域の生活環境の保持
 運用主体  国と都道府県  都道府県と政府指定都市
 対象となる
 店鋪面積
 1,000m2 以上  1,000m2 
 主な調整対象  地元商店街  地域住民
 審査内容  店鋪面積、開店日、
 閉店時間、休業日数
 騒音、廃棄物処理、交通渋滞
 交通安全、駐車・駐輪など
 審査期間  1年以内  1年以内

 今まで商業調整の役割を担ってきた大規模小売店舗法(大店法)は廃止されることとなる。(別表比較表参照)
 これによって店舗面積千平方メートル超の大型店は(1)駐車場需要の充足など地域住民の利便性が確保されるか、(2)騒音などによって周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないか、などを審査項目として地域の実状を加味しながら、都道府県・政令都市によって調整される。

 改正都市計画法については、五月二九日に公布され、その六カ月以内に施行予定とされている。
 都市計画法では、特別用途地域の区分は文教地区など十一種類に限定されている。この区分が廃止され、市町村が地域の実状に応じた特別用途地区が指定出来るようになる。
 例えば、中小専門店街の育成を図るため、一定規模以上の店舗を制限する「小規模小売店舗地区」などを独自に指定できる。
 細かな運用についてはまだ不明な部分も多いが、明らかになりつつある新たな商業調整の枠組みは、(1)地域の独自性を尊重すること、(2)都市計画や街作りを重視することの二つを特徴として掲げているといえる

地域住民の支持がより重要に

 では、新たな枠組みのポスト大店舗法時代を迎え、商店街には、何が求められているのか。
 専門家からは、
1)城下町、門前町、港町など地方都市が持つ独自の歴史、文化、景観などの資源と他の要素の複合による街づくり
2)高齢化社会の到来などをヒントにした「立・ライフスタイル産業」としての街づくり
3)障害者、高齢者などの生活弱者への配慮、お祭りなどの伝統文化の継承といった活動を通じての地域への貢献
等々、新旧織り混ぜた戦略が唱えられ、その具体的事例も全国からのものを含めると、テーマパーク的大掛かりなものから商店街ぐるみの共同宅配、老人・主婦向けの巡回バスの導入や更に新交通機関の検討などといったものも見られるようになった。当然、置かれている状況により、その答えは一様ではない。
 ここでは、僅かではあるが、県内の東・中・西各地区から一組合ずつご紹介させていただいた。
その活動ぶりと事業にあたった役員の方々の言葉の中に、今後の活動のヒントが隠されている。 
 いずれの事例も地域住民の支持を失ってしまえば、個店と商店街に展望が開けないことは確かである。


中小企業静岡(1998年 10月号 No.539)