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商店街・再検証
 商店街の衰退が叫ばれて久しい。
 各地の商店街では、経営者が、若手がそして、おかみさんが立ち上がり、ハード・ソフトの両面にわたり、チャレンジを続けている。しかし、その成果は今一つ。根本的な解決には至っていないケースも多い。
 こうした折、中心市街地活性化法が七月に施行。大店立地法や改正都市計画法もすでに成立し、その施行を待つばかりとなり(九月一日現在)、今後の商店街の命運に深く関わってくるものと思われる。
 商店街は何に挑戦し、そしてこれからどこへ行こうとしているのか。事例とともに商店街を再検証してみたい。

進む空洞化と商店街の衰退

 「浜松市のアクトシティの北側は、空き地が広がり、まるで牧場のような状態。中心部の空洞化に拍車がかかり、イベント集客も一過性で終わっている。長引く景気低迷と消費税アップの影響も大きく将来の見通しも不安だ」
 こう窮状を訴えるのは、浜松市の有楽街(商振)の理事長であり、静岡県商店街振興組合連合会・理事長などの要職を務める御園井宏昌理事長である。
 「モータリゼーションの進展、人口の郊外転出、他業態への顧客流出などで商店街が苦しんでいるにもかかわらず、固定資産税は高いまま。固定費を比べてみただけでも、(郊外型大型店と比べて)地方都市商店街の競争力の低下は一目瞭然」(同)。
 浜松市に限らず、県内各地の商店街で売り上げの減少や空き店舗対策に懸命である。

シャッター通りが増えている

 静岡県商店街振興組合連合会がまとめた「空き店舗対策調査報告書」(平成九年三月)によると、回答した三五組合で空き店舗は一組合平均四店舗。今後、空き店舗は増加すると見込む組合は三三%。また、具体的な空き店舗対策の実施に至っていない組合は九一%に上った。その理由は「組合の組織、資金では実施困難」とするものが一番多かった。
 全国的にも同じこと。“シャッター通り”と呼ばれている商店街が増えている。
 通産省の商業統計によると、一九九七年度の従業員一〜四人の小売店数は、全国で約一〇六万店。バブル末期の九一年度と比べて、一六.九%の激減で、“シャッター通り”の増加を裏付けている。

続く商店街の挑戦

 もちろん商店街も手をこまぬいていた訳ではない。商店街の改造、アーケードの設置、改修のような大掛かりなものからイベント、カード、販促チラシの研究など多岐にわたっている。
 本会でも高度化資金や研修会、個別指導などを通してお手伝いをしているが、各商店街が取り組んできた内容を見るには、その対象数の多さからいって静岡県中小企業活性化基金助成金の対象内容がひとつの目安になる。
 平成二年にスタートした当制度は、国・県が資金を出し、その運用果実で商店街等の活性化事業を支援するもの。当初の十四億円の基金は現在三六億円に積み増されている。この助成金を活用した商店街等は九年間で既に延べ二七〇件を超えている。
 テーマを見ると商店街整備に関する調査・計画策定が一番多く、その他商品券の発行、カード化(ポイント、プリペイド等)に関するものやCI、そしてイベントに関するものが多い。内容はハード面、ソフト面の多岐にわたる。(うち、イベント内容の一部については別表参照)
 その熱き奮戦に、多くが一定の効果を上げながらも、本質的な解決にはなかなか届かないもどかしさがあるのもまた事実。


 ■ポイントカード導入商店街(協組・会)と導入時期

(財)静岡県中小企業振興公社・静岡県リテールサポートセンター「県内商店街(会)カード事業の導入実態調査報告書」
(H10.3)より

組合名・商店会名
導入時期
(平成 月)
 河津サービス店会(協)
 (協)東伊豆町サービス店会
 天竜サービス店会
 (協)あたみシール
 松崎町ロマンシール(協)
 (協)袋井商店連盟
 三ヶ日町えびすカード店会
 福田町商業(協)
 富士本町(商振)
 相楽町商工会サービス店会
 湖西市商業(協)
 (協)伊東カード
 (協)大須賀ファミリーチェーン
 浜松竜西商店会連盟
 土肥町サービス店会(協)
 天城湯ヶ島町サービス店会
 (協)森町ファミリーチェーン
 吉原(商振)
 三島サービスシール(協)
 (協)下田クレジット
 豊田町商店連盟
 修善寺さわやか商業(協)
 裾野サービスシール
 中川根町サービス店会
3.10
4. 4
4. 6
4.10
5. 2
5. 4
6. 2
6. 3
6. 4
6.10
6.10
7. 1
7. 8
7.11
8. 4
8. 4
8. 4
8. 9
8.11
9. 1
9. 1
9. 4
9. 6
9. 8


■中小商業活性化基金助成の対象となった主なイベント事業  H6年度以降分

実施商店街(会)
市町村
事業名
 下田市商店連合会
 稲取地区商店街連合会
 門前町まちづくり推進協議会
 沼津駅北振興会
 沼津市商店街連盟
 小山町共栄会
 広見ショッピング商店会
 富士宮中央(商振)
 清水駅前銀座(商振)
 庵原サービス店会
 但沼サービス店会
 (商振)静岡呉服町名店街
 静岡市人宿町通り発展会
 焼津駅前通り(商振)
 岡部町名店会
 宗高通り商店会
 藤枝中央(商振)
 菊川駅南新町商店街(協)
 西銀座(商振)
 磐田銀二(商振)(2組合合同)
 磐田市見付本通(商振)外2団体
 横町商店会
 有楽街(商振)
 鷲津駅前地区商店街連合会
 入出商業発展会
下田市
東伊豆町
三島市
沼津市
沼津市
小山町
富士市
富士宮市
清水市
清水市
清水市
静岡市
静岡市
焼津市
岡部町
大井川町
藤枝市
菊川町
磐田市
磐田市
磐田市
天竜市
浜松市
湖西市
湖西市
 「商店街開国市」
 伊豆の国 稲取「夢」フェスティバル事業
 大社門前まつり事業
 七夕ふれあい広場
 ぬまづワールドダンスフェスタ’97
 商店会いきいきフェスティバル
 広見サマーフェスティバル
 富士山ろく物語
 駅前銀座延命地蔵尊フェスティバル
 庵原商業祭「THE やらざあ〜」
 サマーフェスタ ただぬま
 「がんばれ日本」キャンペーン
 人宿町周辺地区まちづくりイベント事業
 焼津駅前通り商店街「罪切り地蔵尊まつり」
 サンキューベリーまつり
 宗高ナイトフェスティバル
 藤枝宿上伝馬まつり
 しんまち優・友・遊フェスティバル
 ビタミナール’94生活元気祭
 ジュビロード DE Vゴール
 舞車フェスタ
 秋葉街道まつりイベントとふるさと産品展示(空き店舗)
 アルコモール・フラワー・フェスティバル
 三遠中央市場及びみそか市事業、「大国様まつり」事業
 「こころの夏」イベント事業

なぜ衰退したか

 真の商店街の再生を考えるにあたっては、もう一度商店街衰退の要因を冷静に分析してみる必要がある。一概には言えないまでも、次のような数多くの要因が複雑に絡み合っているものと思われる。
1)モータリゼーションの進展により消費者の行動範囲が拡大したこと。
2)ショッピングセンター、ディスカウントストア、コンビニエンスストアなどの新業態に顧客を奪われたこと。 
3)人口の郊外転出が進み、商店街の立地する中心市街地の人口が減少していること。
4)これに伴い、商店街の集客装置として機能していた市役所、大学、病院等の公共・公益施設の多くも郊外に移転したこと。
5)中心市街地では、依然として地価の問題や土地利用の問題が解決されていないこと。
6)家業として経営しており、企業経営の意識に乏しい商店街経営者の多いこと。
7)大規模小売店舗法による大型出店規制の下で、商店街自体が業態の発展に必要な業態間、業態内の競争を回避しようとしてきたケースがあること。
8)職住分離等により地元住民との関係が希薄になってきたこと。
などである。


中小企業静岡(1998年 10月号 No.539)