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 昨年の七月から静岡支店長に就任した煙田支店長にお話を伺った。入庫は昭和四三年。高岡支店長・和歌山支店長を歴任し、現場の中小企業経営者からの信頼も厚い。出身は富山県。現在五二歳。

創業者を支える金融機関

―静岡県内の景況はどうでしょうか?

煙田 国民公庫の最近の調査でも全業種にわたって景況感が悪化しています。消費者心理の冷え込みが一番の原因だと思います。年金や雇用状況の悪化など将来に対する不安が強くなっており、消費を控えていることが大きいと思います。

―国内には政府系金融機関が三つありますが国民金融公庫と他の公庫の違いは具体的にどんなことでしょうか?

煙田 大まかに言えば、国民金融公庫の融資は、中小企業の中でも、従業員数が二十人未満の小規模企業の方が、中心で全体の九五%を占めています。中小企業金融公庫の融資はこれ以上の規模を持った企業が中心であり、商工組合中央金庫は、協同組合等を中心とした組合や組合員を貸付け対象にされていると思います。

―最近の申込み状況はどうですか?

煙田 当公庫への融資申込みは今年4月〜8月で前年同期比二十%増です。景気の停滞で当公庫に対し長期資金の需要の増加があること、民間金融機関の融資方針の変化、厳格化に伴うものと思います。

―よく貸し渋りと言われていますが、現状はどうでしょうか?

煙田 現在、金融機関自身が株式市場や格付け機関によって評価されており、経営の効率性をより一層高めていこうとしています。信用リスクの高い企業には、融資条件を見直したり相応の金利を要求することは、貸し渋りというよりも収益を重視した融資方針へ経営姿勢を転換していると考えるべきでしょう。

―経営者はどんな対応をしたらいいと思いますか?

煙田 経営者は経営内容の透明性を高めることが必要です。
 欠損により資本がくいこんできた場合は、社長自らが増資を実施するとか、遊休資産の処分や余剰人員の削減に取組むなど経営改善のプランを金融機関や取引先に示せる経営が求められています。経営者の方々には、長期の資金計画に公庫を活用して経営改善を是非図っていただきたいと願っています。

―今年の三月に「創業者支援フォーラム」を開催されたとお聴きしましたが?

煙田 これまで日本経済は中小企業が支えてきたといわれましたが、正確には、活発な新旧交代を繰り返しながら全体として活性化に貢献してきたのです。しかし、ここにきて新しく市場に参入する企業が減ってきており、創業支援が重要だと認識されるようになりました。ところが創業支援というとベンチャービジネスに関心が偏りがちですが、実際には、レストラン等の飲食業、理容業、部品販売業などの個人サービス業といった普通の業種を目指している人のほうが多いのです。地域経済の活性化や雇用の確保の重要性を考えると、自分の経験を生かしての、身近な創業を支援していくことが今大切であると思うからです。ご好評にこたえ来年二月に第二回目の創業支援フォーラムを開催する予定です。



▲好評を博した創業者支援セミナー
中小企業者の最後の拠り所を目指して

―国民金融公庫の今後の役割はどんなことでしょうか?

煙田 政府の総合経済対策をうけて今年六月から、資金繰りに影響を受けている中小企業のため「運転資金円滑化特別貸付」の取扱をはじめました。こうした時期ですから政府系金融機関として、中小企業にとって融資の最後の拠り所を目指して、皆様方のお役に立ちたいと考えております。


中小企業静岡(1998年 10月号 No.539)