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4



   
静岡県鍍金工業組合


   
スラッジの再利用でリサイクル化を目指す



              
〒430-0806 浜松市木戸町4-45
               TEL 053-461-1475

 




▲ビデオ内部にもメッキが活躍


パソコン内部でも活躍!!

 現在インターネットが普及し、その利用者も一千万人を超えたと言われている。私たちが利用する機会が多いパソコンやビデオの内部は、精密部品がひしめいているのはご存知の通り。その中でもめっき技術は機能を発揮させるうえで大変重要な役目を果たしている。今回紹介する組合は、このめっき技術の専門家集団である静岡県鍍金工業組合である。
 ところで静岡県のめっき生産量は、東京、大阪、名古屋の大都市圏に次いで全国で四番目。静岡県は三%経済と言われていて、全国的には十位前後が多く、比較的めっき生産量は多い。
 県内地区組合は岳南、東部、清水、静岡、浜松の5つがあり、相互に連携し合い活動を進めている。設立は昭和四七年。昭和四十年代の日本経済は昭和三十年代後半から続いた高度経済成長の時代であり、つくれば売れる時代と言われ、私たちの生活水準も向上したことは周知の事実である。
 しかし、その一方、全国各地で公害問題が深刻化。昭和四二年「公害対策基本法」昭和四五年「水質汚濁防止法」と法律が次々と施行されると公害に対する事業者の責任が今まで以上に問われ出した時期でもあった。
 当初、組合では営業活動で必要な水質関係第二種の資格取得用の講習会を継続的に開催。現在組合員は一二四社であるが当時は一七五社を超えていた。今でも自動車部品、家電製品等、姿を変えて私たちの生活を支えている。


▲研修会を通じ組合員の資質の向上を図る



公害防止指導員制度の確立

 組合では、設立当初から自主的に施設の改善取扱い、廃液の保管・処理等の指導を行い、環境保全対策を積極的に実施。具体的には、公害防止指導員制度の確立とともに業界レベルの改善向上を図った。
 また、検査成果をその後の会合にフィードバックし、組合員の経営改善向上に役立てている。

工場排水・スラッジの再利用及び後継者対策が組合の課題

 現在、組合の課題の一つは、組合員の使用する水と工場で排出されるスラッジの対策である。昨年度静岡県中央会の活路開拓ビジョン調査事業を活用し、「めっき工程における排水・汚泥の低減化と有効利用」をテーマに調査研究を行った。現在、組合員が企業活動で排出される水の量は、全組合員の合計で、約九千二百トン(一日当たり)。これらの排水に対し、節水だけでなくリサイクル化に取組んでいる。また、社会問題化されている産業廃棄物の埋め立て処分の問題もあと数年後で最終処分場の確保にいきづまることが予想されている。こうした問題に対応するために、貴重な有価金属がスラッジの中に含まれることを利用し再資源化の道を模索。平成六年にはスラッジ研究会を組合内に結成。県の工業技術センターや、大学の教授、家電メーカーの技術者を会員として情報交換を行い、技術の集約を行った。まだ実用化されていないが、駅や道路の敷石に再利用することも可能。今後は安全面の適合化が当面の課題であるが、数年後の再資源化を目指し、組合一丸となって取組んでいる。
 もう一つの課題は後継者不足である。めっき技術者は専門職といわれる。一人前になるには、平均五年から


▲スラッジを駅や道路の敷石に再利用する事も研究中.

十年かかるともいわれ、時代の変化に対応した技術者を養成することは業界存続の鍵である。組合でも数年前から、後継者養成を目指し、いち早く人材確保事業の取組みを始めた。また青年部の活動も活発である。
愛知県等の先進的な企業を視察し、情報のアンテナを絶えず広げ積極的な行動を図っている。
 静岡県では、ごみを出さない「ゼロエミッション」を基調とした資源循環型社会システムの構築について検討をはじめている。これは、あらゆる廃棄物をゼロにする考え方である。「組合員は、コスト削減とともに環境にも配慮した企業活動を行なわなくてはならない。同時に若い世代に誇れるめっき技術の素晴らしさをさらにPRしていきたい。」(加藤理事長)としている。


中小企業静岡(1998年 10月号 No.539)