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より具体的貸し渋り対策の実現を


 世の中、新聞・テレビはもちろんのこと、どこへ行っても不景気な話ばかりである。話だけでなく、私自身が経営者をよく見知っている企業にも、倒産が続いている。
 最近自己破産した従業員十五人ほどの中小企業の中味について、中央会指導員の報告を聞きながら、改めて″貸し渋り″なるものについて、深く考えさせられるものがあった。
 この企業の借入総額は一億円ほど、その内訳は四つの金融機関が九千万円弱、残りの一千万円が、いわゆる高利にあたる。
 問題はその企業が過去一年間に支払った利息で、九千万円分と一千万円分が、なんとほぼ同額であることに驚いた。
 十年ぐらい前までは、市中金利と高利の差は、三、四倍ぐらいであったが、今日ではなんと十倍に近い。これもビックバンがもたらした弱肉強食の厳しい現象の現れといえようか。
 さて、貸し渋りについて考えてみよう。
 もしもどこかの金融機関が、一千万円の肩代わりを可能としていたら、この企業は倒産することはなかった。経営者はもちろんだが、そこに働いている十五人の従業員とその家族や印刷屋さんやガソリンスタンドなど、多くの取引のある中小企業にも累が及ぶことは、なかったであろう。
 私は、いわゆる″貸し渋り″については、もはや議論の段階から、より具体的で実現可能な対応策を検討すべき時だと思う。
 たとえば現行の信用保証制度とは全く別個に、もう一つのシステムを創設してみるという構想はどうだろうか。
 その基本は、リスクに応じて保証料を自由にフロートさせる。現行の保証率はおしなべて〇.六から一%であるが、もしもハイリスクに応じて三、四%程度のシステムがあれば、前記企業の倒産は、防げていたかも知れない。
 私には、そう思えてならないが、いかがだろうか。

静岡県中小企業団体中央会・会長

中小企業静岡(1998年 10月号 No.539)