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 「くみあい百景」 
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組合の共同事業による中小企業支援への動き

輸入茶の安心求め共同検査・現地指導


▼台湾の茶業界300人を前に
 助言指導をする山梨理事長。
作付け指導を実施した 
インドネシアの茶畑。▼



 昨年十二月、静岡市に日本輸入茶協同組合が発足した。本県を中心とする輸入茶販売業十六社が加盟し、理事長には業界老舗の社長、山梨俊治氏が就いた。
 同組合が主要事業として実施するのが、輸入茶の残留農薬に関する共同検査と生産国での衛生指導である。共同検査は、組合員が中国や台湾、インドネシアなどから輸入する緑茶などを対象とし、県内の食品検査機関に委託。およそ八○種類前後に及ぶ農薬検査を行う。
山梨理事長は言う。
「今や食品の安心、安全への対応は業界の生命線。共同検査の実施は、安心を得る大きな手段となっている」。
 今年四月、山梨理事長は谷本副理事長とともに台湾へ飛んだ。地元の茶業関係者ら三○○人を前に、台湾工場の安全衛生や農場で品質管理に関する改善策を指導するためである。
「共同検査だけでは片手落ちで、併せて生産国での指導が重要。なぜなら現地での衛生指導や日本の法にあった農薬量の規制指導が、安全・安心な商品の出荷に直結するから」(山梨理事長)。
 今後は業界全体の底上げが課題と指摘し、組合員の増強に意欲をみせる。

食の安心・安全へ生産履歴

 食の「安心」「安全」が揺らぐ中、消費者の信頼獲得に向け、新たな組合員の支援に乗り出す協同組合がある。
 静岡市の静岡県こだわりの味(協)。
 食品製造業などで平成八年に設立した同組合は、今年四月から、消費者が食品の生産情報や履歴を知ることができる「トレーサビリティー」(生産履歴の追跡)を導入した。組合ホームページにアクセスし、組合商品のバーコードについている十三桁の数字を入力すると、履歴情報がわかるシステムである。
 例えば静岡市内の百貨店で購入した絹豆腐。製造者は組合員で、販売者が同組合となっている。ラベルには、トレーサビリティーを意味する「T」のロゴマーク。バーコード下には「四五三一‥‥」の十三桁の数字が並ぶ。



中小企業静岡(2004年8月号 No.609)