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 「くみあい百景」 
 編集室便り 




地域発展への政策的視点を

 今年の大きな政治日程の一つである、参議院議員選挙が終えた。選挙の争点は年金とイラク問題といわれたが、事前の報道機関の調査によれば商工・サービス業の三二%が景気対策も投票の考慮に入れるとしていた。中小企業の景気回復なしでは直面する諸問題の解決も困難だという意見でもあろう。たとえば、年金財政をみても企業負担なしでは成り立たないのが実情である。
 下半期にむけ仕切りなおしの政局運営にあたっては、本格的景気浮揚には圧倒的多数を占め地域を支えている中小企業の業況回復が必要だということに目をむけた政策姿勢を期待したい。
 先日、ある国会議員の訪問を受けた。地域の産業特性を生かす道や活性化への政策立案に向け、各方面にヒアリングをするのだという。議員自らが現場を回り広くリサーチして、海外事例も参考とした「地域の振興策」を企画していこうとのことで、政策立案重視の真摯な姿勢に敬意を表した次第である。
 地域という視点で見れば、企業や組合は経済的にも文化的にも住民としての役割を担っているが、ここにきて、組合の新たな役割が注目されている。農産物を加工・販売する組合、子育て支援を創業するケース、介護分野を手がけるグループ、培った技術を活かして退職後はコンサルタントをはじめる人々など、起業の器として、また女性や高齢者などの就業の場として多様な展開が見られ、いずれも地域の活力向上に貢献していることに特徴がある。中央会も支援策の中で地域における貴重な芽を育て広めることに使命感を感じており、これを発展させる政治の力にも強く期待したい。
 八月にはオリンピックが開幕する。様々な競技に世界中が沸き、人々に多くの夢と希望を与えるだろう。政治もその政策により、国民に夢と希望を与え未来にむけた地域づくりに意欲を高めていくのが本分でもある。中央会としてその政策実行の一翼を担うべく様々な組合と手を携え、力強い活動を展開していく所存である。

静岡県中小企業団体中央会・会長



中小企業静岡(2004年8月号 No.609)