ペイオフ延期を歓迎する
小泉内閣が、若干時間を置き過ぎたがペイオフ全面解禁の延期を決めたことを歓迎する。
私ども中央会では、つい先頃埼玉県で開いた今年の全国大会において、緊急の最重要課題の一つとして、「ペイオフ全面解禁の延期」を決議したところである。
なにせ世論の圧倒的な人気を背にし、希望と期待をもって小泉内閣はスタートした。ところが肝心の経済はデフレ基調が頑固に定着し、地価は毎年、判で押したように数%から十%近くも下落し続けている。また、株価も同様に一方的な右肩下がりが続く現況である。
だから、小泉首相がいくら「構造改革なくして景気浮揚なし」と大声で叫び続けても、この間の実情を見れば、そんな首相のコトバを鵜呑みにする者は唯一人もいない。
ご承知の通り、中小企業者のほとんどは大企業と違って、個人資産の担保提供、自身も連帯保証人として、企業の命運と一蓮托生であることは誰でも知っている。そこで経営者が死にもの狂いでがんばって収益を上げれてもキャッシュフローが続かなければ、つまり金融機関の適正な協力がなければ、ジ・エンドとなり、従業員ともども路頭に迷うことになる事例は枚挙にいとまがない。
それだけに、このような最悪の景気情況の時期にペイオフが完全に実施されれば、中小金融機関のみならず「貸し渋り」が強くなることは火を見るより明らかであり、あるいは風評による金融機関に対する格付け不安は、そっくりそのまま借り手である我々が背負うことになる。
今年の八月に経済産業省が行なった調査によると、一六七の金融機関のうち、ペイオフが実施されれば、貸出総量の減少が「六〇%」、金利の上昇が「四三%」、さらに貸出期間の短縮が「三二%」と続くという、そら恐ろしい結果が出ている。その時の日本経済がどうなるか考えただけで寒気を感ずる。
今こそ、中小企業の現場の実態にあった「金融・税制などの総合的中小企業施策」を強く要望するものである。
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