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実態をよく見た金融対策を

 静岡県内の金融機関は、堅実な経営で知られる地方銀行をはじめ、十五の信用金庫網が重層的にはりめぐらされており、全国でもトップクラスにある。それだけに中部銀行の破たんは、経済界はもとより、県民にも大きな衝撃をあたえた。
 時期がペイオフ前でもあり、当局の迅速な対応もあって、いわゆる“取り付け”的な混乱が避けられたのは幸いであったが、我々にとって問題はこれからである。
 まず一番に心配なことは、中小企業つまり借り手側からすると、先行きが全く不透明で、今後の資金ぐりにメドがつかないことである。中部銀行を主取引銀行としている中小企業は、県内で三千社を超えると言われており、これらの中小企業の資金ぐりはどうなっていくのか、これをキッカケに高利依存になりはしないか、心配は尽きない。
 次は、今回の事態を受けて各金融機関の中小企業に対する姿勢が、なお一層厳しくなることである。現在、中小企業の六〇%以上が赤字経営であるだけに、金融庁によって大銀行と同じ検査マニュアルによる査定が行われれば、中小の金融機関としては、貸したくとも貸せられないケースも続出する。貸し渋りではなく、貸しはがしが横行するのではないか、中小企業にとっては最悪の事態が憂慮される。
 さて、こうした厳しいなかで、中小企業はいかなる対応をすればよいか。
 さる大学教授は「徹底した合理化によるコスト低減と高付加価値化や差別化を図り、金融負担を削減することだ」とコメントしている。
 ありがたいご託宣だが、現実の中小企業の実態
とは別世界の意見と言わざるをえない。もちろん、中小企業にとってそうした自助努力を一層強めなければならないことは論をまたない。
 一方、政府においては、中小企業は大企業と違ってオーナー経営であるという特質を考慮した査定マニュアルの弾力化と、信用保証制度の抜本的見直しと拡充強化を強く要望してやまない。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(2002年 4月号 No.581)