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経営革新と新規創業の時代へ

平成11年版 中小企業白書より



▽新分野 果敢に挑戦を

 平成11年版中小企業白書が発行された。今回の副題は「経営革新と新規創業の時代へ」。
 白書は長期不況から抜け出すには、新たな雇用を生み出す力のある中小企業が活力を取り戻すことが課題だと指摘。研究開発に力を注いだ中小企業の売上高利益率が突出して高いことなどを示し、経営者に新分野への積極的な挑戦を求めている。





資料:通商産業省「企業活動基本調査
  (平成9年)」再編加工
(注)
1.研究開発費支出のある企業を研究開発実施企業とした。
2.中小企業における「実施企業」は約37%である。



 白書は一律に弱者と見られがちだった中小企業に、経営力の差などが拡大してきたことに着目(G‐1参照)。不況で業績悪化に苦しむ企業が多い中で、規制緩和など時代の変化をとらえて急成長をする企業もあり、情報化、技術の進展で企業規模が大きいことの利点が低下、スケールメリットよりも意思決定、企業行動の機動性、柔軟性が重要になるなど「二重構造論」の時代とは大きく変化していると現状分析している。
 さらに、有望市場がすぐに成熟市場になるなど変化の激しい現在のビジネス環境は、身軽な中小企業にとっては有利と指摘。経営者には新分野への積極的な挑戦を求め、同時に新規創業に大きな期待を示しているが、創業や新規事業への進出の際に資金調達が障害になっている問題も指摘している。
 また、現況において、好業績を生む企業の特性を分析し、資金力や設備で劣る企業でも、他社との共同研究や異業種連携、外部委託などの活用で新製品や新サービスの提供は可能としている。
 特に白書第三章のなかの「業績の違いをもたらす要因」の項では、ネットワークと企業業績の関係を以下のようにとらえ、その効用を示唆している。(以下中小企業白書より抜粋及び一部再編加工)

■ネットワークの効用

 中小企業が環境変化に対応し、企業業績を維持・向上させていくには、新たな活動を通じて各企業が独自の強みを持つことが重要であるが、そのために必要とされる経営資源を、個々の企業がすべて保有することは困難であり、かえって効率性を低下させることにもなりかねない。
 こうしたことから、中小企業型の企業や機関等とのネットワークを作り必要な経営資源を外部から調達していくことも極めて重要である。その一例として共同研究開発がある。
 共同研究開発と売上高経常利益率関係を中小企業についてみると異業種他社と共同研究開発を行っている企業では、利益率が大幅に向上。また、同業種他社と共同研究開発を行っている企業においても向上の幅は小さいものの収益率は高い水準を保持しており、それぞれ共同研究開発の有用性が認められる(G‐2参照)。
 また、共同受注・販売も効果が大きい(G‐3参照)。中小企業におけるこれらの取組みと売上高伸び率の関係を見ると、異業種他社及び同業種他社と共同受注・販売を行った企業は、中小企業全体の伸び率に比べ際立って高い伸びを示している。特に全体の平均では大企業に比べて中小企業の伸び率が低いにもかかわらず、共同受注販売を行った場合は中小企業の方が伸び率が高くなっていることから、その有効性は顕著であると考えられる。


中小企業静岡(1999年 7月号 No.548)