富士の叫び   フラッシュ  特集  ケーススタディ ネットワーク
役場の自慢話  組合にしひがし  あるある全国おもしろ組合  300字登場  編集室便り


エゴと協同組合主義

 今の世のなか、国の内外、自分だけよければ他人様への迷惑など、おかまいなし。まさにエゴとエゴがまかり通ってはいまいか。
 ペルーのテロ集団も、ロシアのナホトカ号もしかり。オウム教はいうに及ばず、オレンジ共済も、野村証券も、政党も政治家(屋)も、みんな自己の主張、自分の利益だけを、恥も外聞もなく追求している様は、醜態としかいいようもない。
 規制緩和や行財政改革の必要性もよくわかるが、我々中小企業からみれば、巨大なもの、力の強いもの、あるいは為政者のメンツなど、強者のエゴが優先しているように思えてならない。
 たとえば商工中金の民営化についても「行財政改革のメリットは、ほとんどない」のが識者の一致した見方である。仮に民営化されれば、債券の発行コストが上昇し、これに伴って、貸出金利を上げざるを得なくなる。それが、マルマル中小企業の負担増となることは火を見るよりも明らかである。つまり行革のデメリットの方がはるかに大きい。労働時間の四〇時間制にしても、大店法にしても、シワ寄せは、すべて弱者に負担を強いているのが現実である。弱い所にシワを寄せることが一番やり易い。
 私たちはバブル経済の絶頂期と奈落の底を体験し、拝金主義がいかに危険かつ空しいものであるか、骨の髄まで味わってきたはずである。
 私は思う―――経済の国際化のなかで、規制緩和や市場競争主義を否定するものではない。しかし我々はもう少し人の心を大切にし、協調と調和のある持続可能な発展を指向すべきである。いまこそ、新しい視点に立った相互扶助精神に基づいた協同組織の重要さを再確認すべき時である。

      静岡県中小企業団体中央会・会長


 中小企業静岡(1997年6月号 No.523)