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「西暦2000年問題とその課題」
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今回は、前回に引き続き「西暦2000年問題」が中小企業に及ぼす影響を取り上げるとともに、本問題に対処する場合の制度融資を紹介します。 ●中小企業へ及ぼす影響 まず、「西暦2000年問題」による誤った処理と中小企業経営についてお話させていただきます。 [事例1] ある日本の大手企業で、西暦2000年まで保管可能な部品を入庫しようとして“00”年をコンピュータに入力したところコンピュータそのものがダウンしてしまった。コンピュータ自身がダウンしてしまう事例です。 [事例2] ある米国の部品メーカーA社が96年から5年間保管可能な部品に「96年出庫―02保管可能」というラベルをつけて納品したところ、受入側B社で拒否され受入側の製造ラインが停止してしまい訴訟問題に発展してしまった。この事例は2000年問題が物流システムの一部を担う卸売業者やJIT部品を納品する下請け製造業者への問題提起となります。 [事例3] ある日本の金融機関では、商法上五年間の保管を義務づけられている取引ファイルをディスク装置上から自動消去してしまった。これは金融業だけの問題ではありません。例えば、これはPL法の訴訟問題にも深刻な影響を与えます。PL法では製品出庫後十年後の時効規定があるからです。もし、十年以内に訴訟問題が生じ、ファイルを証拠として提供できない場合は、証拠隠滅として判断されてしまう可能性もあるのです。 ●どのような制度融資があるのか 西暦2000年問題に対応するために新システムを導入しようとする企業については、中小企業金融公庫の「情報化基盤貸付」と国民金融公庫の「中小企業情報化促進資金貸付」を利用することができます。 この他、システムの入れ替えを行うときに有利な「中小企業新技術体化投資促進税制(いわゆるメカトロ税制)」という制度があります。 ●遅れる静岡の中小企業 先日、この問題について静岡県中小企業情報センターでお話を伺ったところ「新聞にもセンターの統計資料がとりあげられたにもかかわらず、反応がまったくない」ということでした。コンピュータを持っているはずの企業数と2000年問題に対応可能な本県のシステム業者の処理能力から判断すると問題はむしろ水面下に深く沈んでいるといえそうです。 最後に、静岡県中小企業情報センターが昨年十二月に発表した静岡県中小製造業の対応状況と昨年七月に(社)情報サービス産業協会の結果を比較した表を掲載します。いかに静岡県企業の取り組みが遅れているかわかるでしょう。 ■図1 西暦2000問題の本質 |
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中小企業静岡(1997年06月号 No.523) |