県内中小企業の労働事情はどうか――。
毎年、七月を調査時点に実施される
「労働事情実態調査」の結果がまとまった。
この調査の回答事業所は、四二七事業所。
常用労働者は一万七千人に及ぶ。
ここでは、この調査報告から関心の高い
労働時間などを中心にダイジェストで報告する。 |
※調査のあらまし
[調査対象]
従業員三〇〇人未満の
中小企業八〇〇事業所
[調査方法]
各事業所へ郵送によるアンケート調査
[調査時点]
平成八年七月一日
[回答数]
有効回答数:四二七事業所
(製造業:二二九、非製造業:一九八)
回答率:五九・九%
■経営状況
経営状況を「悪い」と回答した事業所は、四六・七%。一方「良い」という答えは、十一・三%だった。
前回と比較すると、「悪い」とする事業所の割合は十四・七ポイント減少し、「良い」は六・一ポイント増加した。
■従業員の休日
全体の八一・三%の事業所が、何らかの形で「週休二日制」を導入している。
内容別にみると「月二回」が二八・六%と最も多く、「完全」は七・六%と前回より二ポイント減少した。
また従業員規模別では、「一〜九人」規模で六一・五%の導入率であるのに対して、「三〇〜九九人」規模では八四・七%であるなど、従業員規模の違いにより、週休二日制導入の状況に大きな違いがみられた。
■労働時間
(一)週所定労働時間
「四四時間以下」という事業所の割合は九一・一%と、前回を五・一ポイント上回った。
また「四〇時間以下」と回答した事業所は全体の二六・八%。十人未満の事業所では二三・五%という結果がでた。
(二)一日の所定労働時間
全産業平均では「七・八二時間」。内訳をみると「八時間」が六五%と最も多く、「七時間半超八時間未満」の十六・一%がこれに続く。
規模別では、事業所規模が「三〇〜九九人」が七・八九時間と最も長くなっているが、「一〜九人」が七・七四時間であり、それほど差はみられない。
(三)従業員一人あたり月平均残業時間
従業員一人あたりの月平均残業時間は、全体で十・九時間と、前回に比べて一・四時間増加した。内容的には、「一時間超十時間未満」の割合が三二・八%と高い数値を示した。
業種的には、「運輸業」の二九・五時間が最も多い。
(四)年間所定労働時間
トータルでは、二、〇三九・六時間と前回に比べ二四・二時間減少した。
「二、〇〇〇〜二、一〇〇時間未満」と答えた事業所の割合が三一・四%と最も多く、次いで「二、一〇〇〜二、二〇〇時間未満」の二六・三%となっている。
また、非製造業(二、〇六五時間)のほうが製造業(二、〇一九時間)より平均時間が長いという結果となった。
(五)年間総労働時間
「年間総労働時間」とは、年間所定労働時間に残業時間、有給休暇取得を加減したものをいう。全体では、二、一〇五時間と前回より三・五時間減少した。
(六)有給休暇取得率
取得率は、全体の平均で五八・八%。 「七〇〜一〇〇%」の割合が三四・六%と最も多く、次いで「五〇〜七〇%未満」の三一・七%となっている。
一方規模別では「一〜九人」規模の事業所が六四・二%と最も高い。
(七)週四〇時間への今後の対応
週四〇時間に「すでに対応している」と回答した事業所は全体の二八・九%。そして「平成九年三月末までには移行」が四九・三%。「移行は極めて困難」と回答した事業所は二一・八%であった。
規模別にみると、「一〇〇〜三〇〇人」規模の事業所の五九・六%が「すでに移行している」と答え、六割近い事業所ですでに移行済という高い数値を示した。
一方業種では、回答した「小売業」の半数が「移行は困難」としており、高い割合を示している(表\一参照)。
■新規学卒者の初任給
(一)高校卒
単純平均(以下同じ)で、男子技能系が一六三、四六八円、事務系が一六二、一五〇円。一方女子は、技能系で一四九、〇八二円、事務系が一五〇、二二一円となっている。
(二)大学卒
大学卒業者はどうかというと、男子技術系が一八九、六一一円であるのに対して、事務系は一八八、七二三円だった。また女子では、技術系が一七八、二〇九円で、事務系が一八一、四二八円という結果だった。
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