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危機管理の重要性
 
 今回のペルー大使公邸人質事件やロシアタンカー重油流出事故では、ことの重大性もさることながら、「いざ」という時の日本の危機管理の不備を世界中に露呈した感が強い。
 中小企業といえども他山の石とはいえない。
 いつ発生するか予測しきれない事件や事故がひとたび起こると、甚大な損害を蒙り、経営が維持できなくなる危機をはらんでいるからである。
 阪神大震災で被害を受けた神戸・長田地区のケミカルシューズ業界の中には、いまだ企業が再建できず、廃業する方も多いと聞く。
 自然災害や事件事故だけではない。
 経済情勢とて、全く然りである。
 そのリスクは多岐にわたり多様化している。まさに中小企業のまわりには目に見えぬ危険が一杯であり、時代は今何が起ってもおかしくない、「羅針盤のない航海」にも似た危ぐを感ずる。
 我々はあらゆるリスクに対して、それを予測し、評価し、リスクヘッジを頭に入れ、こうした危機を分散したり移転することが、いかに重要かを肝に命じておかなければならない。そして、それには想像以上に負担が大きいことも覚悟せねばなるまい。
 そうした中で、危機管理をより効率的に、効果的に実践するために、中小企業組合の役割はますます重要になる。大企業と中小企業ではリスク負担能力が違う。中小企業が十分なリスクマネージメントが容易でない現状を踏まえ、今後こうした分野に、官民ともに力を入れて行くことが肝心であり、大きな関心を払っていかなければならない問題のひとつである。
静岡県中小企業団体中央会・会長

中小企業静岡(1997年 3月号 No.520)