特 集 
 「くみあい百景」 
 編集室便り 




 シリーズ高度化特集2 


 高度化資金を上手に利用する法

 座談会
 県経営支援室室長 
藤島 徹次
 調査・診断グループマネージャー 
鈴木 勇治
 村松風送設備工業(株)会長 
村松 賢一
 県中小企業団体中央会事務局長 
山口 正藏


 より使いやすい制度をめざし、中小企業基盤整備機構は高度化資金の制度改正を行った。折しも県内設備投資の動向は回復局面を迎え、静岡経済研究所の調査によると、十六年度における県内中堅・中小企業の投資額は前年度比プラス二○パーセントと大幅に増加する見通しとなった。今後、旺盛な資金需要のもと、高度化資金への期待は一層高まるものと思われる。
 高度化特集の第二回は、県・しずおか産業創造機構・(協)浜松技術工業団地・中央会による座談会を開催。当団地をモデルケースに、それぞれの立場から高度化資金の利用促進に向けた意見が出された。

 団地拡張事業で更なる飛躍へ 

拡張地に一〇社、既存団地に三社

山口 久しぶりに浜松技術工業団地を拝見し、驚きました。建設後十六年経過した今も、当初の美観を維持しておりますし、隣接地では大規模な拡張工事がまさに完成しつつある。団地全体の活況を裏付けるように、各社の業績も大幅に伸びています。団地進出前の昭和六一年、組合員二○社の総売上高は二一三億円で十八年後の平成十五年は三倍の六二六億円。浜松市の工業出荷額がその間、十数%の伸び率でしかないことを考え併せると、団地進出の効果は極めて絶大であったといえます。
 初めに、当団地の建設委員長である村松理事より今回の高度化事業の概要についてご説明いただきたいと思います。
村松 先ほど団地をご覧いただいたように、十万平方メートルの拡張地が十社により全て埋まった状況です。一部の工場を除き、ほとんどが既に稼動に入っています。
 一方、既存団地の中でも、広いスペースを求めて空き工場へ全面移転した企業、その跡地を購入して工場拡張を図った企業など、団地内の二社と外から一社が移転と同時にリニューアルを行いました。総投資額は機械なども入れておよそ八一億円。高度化資金の借入額は四七億円になります。
鈴木 これまで進出希望者の頻繁な入れ替えや計画変更など紆余曲折はありましたが、最終的には空き区画を出さずにキッチリと埋めたのはさすがです。当組合の底力を感じます。
藤島 拡張地への進出企業が十社ですか。内訳として既存の組合員が四社で、新規組合員が六社ということですね。新旧の組合員が入り混じる中、今後の組合運営も難しさが出てくるのではないでしょうか。
村松 確かに、新規に入る組合員は計画時からの苦労や組合制度、高度化制度に関する理解が足りない面があるのは事実です。こうした点を補う意味で教育事業の重要性を痛感しています。
山口 実は先日、理事長さんより「協同組合とは何ぞや」という講義をして欲しいという要請を頂いたばかりです。新旧組合員の間で意識の差があっては不都合を生じるのは当然で、複雑な権利関係をもつ団地組合ではなおさらのことです。二○年の歴史の中でこうした事態は初めてのことでしょうから、今が極めて重要な時期といえます。



中小企業静岡(2004年12月号No.613)