特 集 
 凖特集 
 視点・指導員の現場から 
 「くみあい百景」 
 編集室だより 



指導員の現場から
人間、
疑心暗鬼になると・・・



 今回の題材は、「監査」や「内部牽制」に関係すること。後ろ向きにとる方もあり、本当はあまり触れたくない類のテーマです。
 でも、ちょっと気になることもあります。
 五月の組合総会シーズンには、いくつかに出席をさせていただきましたが、 ほとんどの組合では、「理事から提出された○○を監査したところ…」と総会資料を紋切り型に棒読みをするのみ。『この点に補足説明があれば』と思ったり、ごくまれに『キッチリと(監査を)やったの?』と不安になることも。
 やや、失言じみてきましたが、これを証明するかのような、総会後の懇親会の席での某監事さんからの一言。「ボクの役割はハンコを押すだけだから」―。
 以前から、監事の『監』は『閑』などといった、監事職を軽視するトンデモナイたとえもあり、本来の監事の職務と権限を考えると暗澹たる思いがします。
 実は、中央会もいくつかの団体の事務局を担当しており、監査を受ける立場になることもシバシバ。
 私が監査を受けるときの常套句は、
 「とにかく徹底的にお願いします。不正は絶対にありませんが、誤りや勘違いはあるかもしれません。また、別の視点から改善点などをご指摘いただければ本当に助かります」。
 中央会職員にしては少し情けないと感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、コレ私の本音です。
 信用を得るには長い年月が必要ですが、獲得した信用を失うのは一瞬です。

事件発生!!(?)

 中には、内部牽制制度や監査をおざなりにしていたばかりに、こんなことになってしまった例もあります。
 A組合は、年二回の商品展示会をメインに展開してきた組合ですが、組合員が十人を割った頃から会計を一理事に任せきりとなり、監査も形だけの状態が十年近くに及んでいました。
 やがて、どこからともなく沸き上がってきたのが、「自分の事業に組合の金を流用しているのでは」との声。疑心暗鬼が生じ、組合員間もギクシャクし一触即発の状態に。中央会も相談を受ける中で、一週間にわたる帳票類とのにらめっこが続きましたが、出てくるのは会計理事の几帳面な性格を表す処理書類のみ。チェックするだけでも汗だくの日々が続き、疑惑追及派の口からも、「(会計理事さんが)こんなに大変な仕事をしているとは、思ってもいませんでした」との言葉が。不要な疑惑だったことを認め、ひとりで事務を切り盛りしてきた会計理事に功労賞を授与することで決着。その後、内部組織の見直しが図られました。
 監査や内部牽制制度というと、不祥事やミスの防御策といったイメージが先行しがちですが、なにより組合員相互の理解アップという観点も含め、その役割と重要性をもう一度見直していただければと思います。
 そして、くれぐれも監査を儀式に終わらせることのないようお願いをします。
(敏)



中小企業静岡(2004年6月号 No.607)