富士の叫び 
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▲第100号の表紙

▲初めて静岡県内で開催された第16回全国大会=静岡市駿府会館

もはや戦後ではない

 焦土のなかから出発して十年。
日本経済は「もはや戦後ではない」と昭和三一年の経済白書は戦後復興の勝利を謳う。三〇年代は内部に大きな矛盾を抱えながらも、奇跡の高度成長をひた走った。
 「神武景気」(昭和三一年〜)と呼ばれる大型好況のなかで、日常生活も向上。「三種の神器」という言葉とともにテレビ、洗濯機、冷蔵庫などが飛ぶように売れた。
 昭和三五年には池田勇人首相が所得倍増計画を発表。“大風呂敷”と内外から批判を受けるも、神武景気から岩戸景気へと高度成長を続け、昭和三九年の「東京オリンピック」の開催、新幹線開通は日本人に自信を与えた。
 しかし、高度成長のなかで大企業と中小企業の格差拡大、深刻な人手不足による賃金の上昇、金融難などの問題も顕在化していった。
 こうした高度経済成長の光と影の中で、『中小企業時報(後の中小企業静岡)』は昭和三五年、一〇〇号を迎えている。

 昭和三九年 全国大会特集号(一三五号)
 第十六回全国大会をグラビア風に編集

▲参加者で埋め尽くされた会場
 昭和39年11月11日

 第十六回中小企業団体全国大会は、全国から二、〇〇〇名、県内を含め四、〇〇〇名の中小企業代表者を集め、静岡市で開催された。
 本誌では、この大会の模様を全国大会特集号として、写真を中心に構成。大会を告げる垂れ幕のかかった駅前ビルなどの街の風景から参加者で埋め尽くされた会場内まで、臨場感あふれる四〇枚ほどの写真が誌面を飾った。
 大会冒頭「よう来てくれたノー…」と挨拶した増井慶太郎初代会長(故人)の名言とともに、新しい全国大会の流れをつくった大会として記録されている。


1955 >>>>> 1964

■昭和三〇年十二月十九日
 静岡県中央会設立登記
●三五年七月(一〇〇号)
 この当時の機関誌名は「中小企業時報」、“横書き”。
●三五年八月(一〇一号)
 巻頭に「目をひらこう」というタイトルでコラム掲載スタート。現在の「富士の叫び」にあたる。
●三五年十月(一〇三号)
 中小企業の労務管理について考える「中小企業労働問題シリーズ」がはじまる。
●三五年十一月(一〇四号)
 中小企業会館が十一月一日に完成、中央会、県中小企業指導所などが入居。
●三五年十二月(一〇五号)
 当時最も関心を集めた“所得倍増計画”を特集。
●三八年五〜六月(一三一号)
 「中小企業近代化促進法」「中小企業投資育成株式会社法」など相次ぎ施行。法律本文とその概要について特集。
●三八年八〜九月(一三三号)
 「中小企業基本法」が七月成立。
●三九年十一月(全国大会特集号)
 十一月、静岡市で開催された第十六回全国大会を特集した“特別号”を発行。写真を多用し、大会の模様を時間とともに紹介した誌面が話題に。


中小企業静岡(2003年10月号 No.599)