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W杯に想う

 やや旧聞に属することとなるが、老若男女を問わず日本国中が熱気につつまれた、W杯サッカーはそれぞれの人に、それぞれに固有の強い思い出を残してくれた。
 決勝トーナメントに進出した主催国である日韓両国は予想をこえる成績をあげ、なかんずくベスト4に残った韓国の健闘ぶりは競争相手ながら、あっぱれの一言につきる。とくに両国を比べて選手・サポーター(国民)共に韓国の強烈な執念には脱帽であり、我々はこれを謙虚に学び、あるいは反省すべきものが多かった。
 それにしても前回の覇者フランス、政治的にも経済的にも驚異の的である中国は、いずれも予選リーグでたった1点もとれずに零敗を喫したことも別の意味で注目される。
 この事実はサッカーの世界とはいえ、グローバル化した今日、世界のトップ水準を守るには、わずかな油断も許されないことを実証したといっても過言ではない。
 目を転じてみて、最近私が強く興味をひかれたのは、わが国の消費動向標準都市である静岡の中心街における新旧店舗の激しい盛衰現象である。
 戦後、子どもが「街に行く」といえば七間町と相場が決まっていた。そのど真ん中にあった市内で三指にはいる大型有名書店が撤退し、なんとそこに新興のケーキ屋さんが進出することになった。
 また、現在県下第一の商店街である呉服町にあった歴史ある時計店も相次いで閉店した。往時の静岡を知る人たちにとっては寂しい限りである。
 スポーツにおいても政治においても、特に企業経営においては、小さな、あるいはわずかな消費者(ユーザー)の動向変化を見逃すことなく、もちろん大きな(世界的)経済の流れ、潮目を確実にキャッチできる知識と不断の努力が求められることを、W杯を見て改めて痛感したしだいである。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(2002年 8月号 No.585)