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指導員の現場から
地域の担い手として「NPO」が注目されるが、
それ以上のパワーと実績を持つのは「企業組合」



起業の「企業組合」

 これから書こうとしている内容は、できれば県、市、町村の職員そして会議所、商工会の指導員の方々に読んでいただきたいものです。
 テーマは、企業組合。
 ご承知の通り、中央会は中小企業経営者で組織された団体(一般的には、中小企業組合と呼ばれる)の設立から運営全般をお手伝いする組織ですが、その団体の中に「企業組合」という種類の組織があります。
 企業組合の特徴の第一は、組合員の資格が「個人」である、ということです。
 一つの例で紹介すると、(企)浜名湖えるだークラブという組合が湖西市にあります。この組合は、定年退職した人達(二二人)によって設立されました。きっかけは「働いていた時身につけた専門知識を何らかの形で活かしたい」というものでした。ならばいっそ、起業しよう、という発想で組合を設立しました。現在では、一般企業の品質管理、労務管理、教育研修事業を組合で引き受け、高い評価を得ています。
 もう一つの例を紹介しましょう。(企)ニートリィです。この組合は、中川根町の農家の主婦十四人で設立されました。川根はヘチマの産地です。古くからヘチマは、保湿効果が高いため化粧水として有名ですが、このヘチマを利用した「ニートリィ」という化粧品を開発し、現在、好評の内に販売を伸ばしております。



NPO以上の運営主体

 以前、ある商工会を訪問したことがあります。その町には、歴史的な建造物があり、保存と同時に経済活性化にも役立たせたいが、どんな運営が良いだろうか、という相談がありました。
 参考になるものが、岡部町にあります。
 (企)岡部宿かしばや。
 岡部は東海道宿場町ですが、その旅篭を改装し、観光即売所の運営をしているのが、組合です。組合員は町の有志であり、交替で販売所等の運営をしています。
 さて、現在、地域自治体、そして商工会・会議所などの地域経済団体などは、地域の活性化、雇用拡大、文化財保存、人間教育、住民主導の地域づくり、高齢化、介護など、それぞれ問題を抱えております。問題の第一は、どんな組織が主体となって、それらの解決のための活動をするか、ということです。
 その一つがNPO(非営利団体)であるのも事実ですが、実は、もっと使い勝手の良い組織が、企業組合であると断言できます。
 実際、静岡は無論全国で、介護、福祉、教育、地域おこし、雇用拡大、行政サービス代行、文化財保護、空き店舗対策、住民交流など従来の組合活動では想像できない組合活動が澎湃として興りつつあります。
 地域の問題解決主体として、企業組合に注目してほしいと願っています。 (次)


中小企業静岡(2002年 5月号 No.582)