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特集 組合設立白書



六割が共同受注を目的

 十三年度の各組合の概要については、十〜十三ページにできるだけ設立の背景となった目的や主要事業ごとに掲載させていただいた。
 主要事業別に組合をみると、二六組合のうち十五組合、約六割が共同受注を主目的に設立されている。(企業組合は、別項目としたが、このなかに実質的には共同受注といえるものも含まれている。)
 過去十年間にさかのぼったデータを見ても全体の四割近くの組合が共同受注を目指して設立されている。特に急増したこの五年間は、主要事業別の組合設立数を別表(九ページ)にまとめた。十年度以降は新設組合の約半数を占めて主要事業の座を確固たるものにしている。
 しかし、その共同受注の内容もさらに変化している。



トータルな視点でコンサルティングを

 福祉住環境コンサルタント(協)、浜松総合コンサルタント事業(協)、静岡有機資源循環コンサルタント(協)、(企)静岡システムコンサルタントのように「コンサルタント」の名称が昨年度の傾向を象徴している。
 福祉住環境コンサルタント(協)は、一級建築士、福祉住環境コーディネーター、インテリアコーディネーター等の専門家が設計・施工から資金面、介護面のアドバイスまでを総合的に行う。
 浜松総合コンサルタント事業(協)は、税理士、経営コンサルタント、情報処理業者らが経営、税務、ISO取得、IT関連に及ぶ広範囲なコンサルティングやセミナー開催を、静岡有機資源循環コンサルタント(協)は造園工事業者、肥料製造業、環境コンサルタントらが食品廃棄物再利用システム、剪定枝・刈り草の堆肥化処理、食品廃棄物の再利用システムなど有機性廃棄物を循環利用するためのコンサルタント事業を共同受注する。
 (企)静岡システムコンサルタントはIT関連のコンサルタントが中心となる。



土地・建物の高度利用へ

 これら多岐にわたるコンサルティングが行なわれているが、特にコンサルティング要素を含めながら総合的な受注を図ったものが目立ったのは土地・建物の高度利用を目指した分野ではなかろうか。不動産を有効かつ高度に活用していこうとするニーズは、バブル崩壊以降年々高まっている。既存の住宅・建設市場が頭打ちとなるなかで、新たなニッチ(すきま)市場を求める動きも見逃せない。
 前述の福祉住環境コンサルタント(協)を含め数組合がこの分野にかかる。といってもその内容は、多彩だ。
 (協)静岡不動産活性化研究所のメンバーは都市再開発に精通する司法書士や弁護士、不動産鑑定士、一級建築士ら。複雑な手続きや土地利用についてアドバイスしていく。
 総合施設管理(協)は、設計・建築だけでなく、ビルメンテナンス、解体工事業者までも含めたメンバーで、ビルの設計から施工、維持まで一括管理。顧客のランニングコスト抑制に向け、各組合員のノウハウと資格を結集する。大手ゼネコンが小規模な事業へ次々進出するなかで、幅広い受注獲得をめざす。
 より、特定分野の市場に絞ったケースもある。
 (企)デュアルアートワークスは、一級建築士、設備設計士、グラフィックデザイナーにより、入居希望者が自由に設計できる集合住宅「コーポラティブ住宅」の企画から参加者の募集、土地開発、設計・監理、アフターフォローまでを手掛ける。
 クラインガルテン事業(協)となると、クラインガルテン(市民農園)の開設にあたっての法的申請から設計、誘客、環境面に至るまでの総合的なコンサルティング業務を受注。組合員には建築工事業者のほか、スポーツ施設業者や環境コンサルタントを含む。背景には、それまで市民農園内に休憩施設しか設置を認めていなかったものが、市民農園整備促進法の大幅改正により、コテージ(滞在型居住施設)や交流・研修棟、キャンプ場、バーベキュー広場などの施設の設置、さらに高齢者の生きがいづくりのためのシニアハウス(定住型居住施設)など多機能な施設の充実が認められたことがある。市民農園は遊休農地や担い手の確保できない農地の有効利用としても注目されている。


中小企業静岡(2002年 5月号 No.582)