増える創業相談
夢の実現を自らの手で
「本当に自分たちで創業できるんですか?」。沼津事務所に着任して半年が経過するが、これまでになく個人グループの、企業組合による創業相談が多いことに驚かされる。
十月二三日、富士市大淵にある「静岡県富士養護学校」で在校生の卒業後の進路を考えるための研修会が行われた。
企業組合イルカの内田理事長と共に、研修会で企業組合についての講演を依頼され、八〇名余りの父兄の前で企業組合全般に渡る講演を行った。父兄の方々の真剣な眼差しは自分に迫るものがあり講演後、具体的な質疑が活発に行われた。
長期に渡る景気低迷は、多くの人達の就業の場を狭めたばかりか、養護学校に通学する生徒の就職も閉ざそうとしている。
「受け身の求職より夢の創出を」と考え、子供達と共に自分の持つ技術や特技を生かそうとする父兄の方が、企業組合を母体として活動を行っていこうとする創業の相談は増え続けている。
創業に勇気を与えた「イルカ」
こうした傾向に先駆的な役割を果たした存在があった。前述した企業組合イルカである。
沼津市今沢でお菓子の製造・販売を目的に設立され、昨年四月から本格的な活動を始めた。
開業にいたるまでには、二年間の研究期間があった。メンバー六人が菓子製造の技術に長けていたわけではなく、学びながら開業した努力は並大抵のものではなかったが「子供達の夢の場を」という強い信念の基に事業を始めることができたわけである。毎日が試行錯誤の連続だが着実に夢に近づきつつある。
地域と共に歩む
総務庁統計局労働力調査によると完全失業率(九月調査)は四.七%、三二〇万人で失業者のうち高齢者男性(六〇才〜六四才)が九.六%を占める。
昨年四月から介護保険法がスタートし、地域での介護を考えたディサービスセンター開設の相談も寄せられる。
その中には中高齢者の方や女性によるものも多い。そして施設は老人の介護ばかりではなく、子供の一時預かりなども考えている。地域住民の総合的なニーズに対応するための、ミックス型施設である。
地域に愛される拠点づくりは地域に住んでいる住民の手で。
ディサービスセンターはそんな地域での交流の場になる可能性が高い。通所する老人も子供達との接触により刺激を受ける。
守られる立場から守る立場になることにより、意識的な変化が表れてくるという。
現在、ベンチャー企業の支援など、強い企業への支援が多い。
しかし地域には、形は小さいが創業により歩んでいこうとする方たちが続々と増えている。
中央会職員として、少しでも多くの創業希望者に対し、夢のお手伝いをすることができればと考え、これからも業務に邁進していく所存である。(大村)
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