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中小企業国会とは言うけれど

 小渕総理は、内閣改造後の記者会見で「次の国会は中小企業国会とし、経済政策の総仕上げを行う」と言明した。かつて「中小企業が三ツや四ツ潰れてもしかたがない」と言って、物議をかもした大臣もいたが、時の総理大臣が「中小企業国会だ」と断言したのは、前例のない快挙だ。
 その中味は、中小企業の範囲の拡大をはじめ、ベンチャー企業への融資創設・中堅企業の私募債への保証などの金融対策・エンジェル税制や事業承継円滑化の相続税制などなど……実に盛りだくさんの政策が並んでいる。組合関係でも、協同組合や協業組合から株式会社への組織変更を可能とする法案までも用意されている。
 いずれも現下の厳しい経済情勢のもとで、市場経済を勝ち抜くのに必要な“強い企業をつくる”政策であることは間違いない。
 しかし私はなぜか、もろ手を挙げて賛成しかねる。それは“大多数の一般的な(弱い)中小企業“からの視点が欠落しているからである。
 二人の関係大臣の談話を聞いてみると、そのことがハッキリする。すなわち堺屋経企庁長官は「政府は中小企業を弱者として保護する立ち場はとらず、中小の中から強者を育てていく」と言い切る。また中小企業庁を所轄する深谷通産大臣は「中小企業を保護育成するという今までの考えを転換し、経済のけん引役になってもらう」と力説。およそ現場の中小企業の実態から遊離した感があることは誰がみても明らかである。
 両大臣に問う! 六〇〇万にのぼる中小零細企業のなかから、いったい何人の強者を育て、何人のけん引役を養成していけますか、と。
 さらに政府は“外形課税”という、赤字企業でも、土地や建物、従業員数などを基準に課税出来る、コワイ新税を用意しているという。
 国の礎である中小企業が疲弊すれば、この国はどうなってしまうのか、心配でならない。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(1999年 11月号 No.552)