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●特集 新たな企業の存在と発展の戦略

            事業承継対策としてのM&A


 後継者問題は、中小企業にとって企業生命に関わる切実な問題。財産上の問題もあり息子に継がせたいと考える経営者が多いものの、子供に継ぐ意志がない場合や経営者に適していない場合など、世代交代が円滑に出来ず悩む経営者も増えている。
 こんな後継者難を解決する方法として、最近、注目を集めているのが、M&A(企業の合併・買収)。
 まだ、「乗っ取り」とか「身売り」といったイメージを持っている方も多いかもしれないが、「従業員の雇用の継続」「節税面」ひいては「新たな発展策」としても有効に行われているという。 
 今月の特集では、主に「譲渡するオーナー経営者」の立場から、事業承継対策の選択肢としてのM&Aについて、どういうものか、どのように進められるか、スポットを当ててみた。


多い後継者の不在

 近年、中小企業では後継者難が深刻であるといわれる。戦後、創業された中小企業の多くが、世代交代期を迎えているのもその一因。上場企業では資本と経営とが分離され、人材が揃っているために「世代交代」は「社長交代」ということで比較的簡単に行われるが、中小企業は個人資産と経営が一体となっている場合が多く、財産上の問題から、また、親心としても息子に継がせたいと考えるのは当然の成り行きといえよう。
 静岡県中央会が本年七月に実施した「後継者問題に関する調査」(調査対象八〇〇事業所、有効回答三九三事業所、調査結果ダイジェストを十六nに掲載)では、後継者の有無について、六.四%が「自分の代で廃業するのもやむを得ないと思っている」としているほか、「何とか候補者を得るように努力している」が十二.五%、「候補者はいるが若干不安があるので検討」八.七%となっている。そのほか「候補者が承知しないので交渉続行中」とするものもあり、中小企業の約三割が後継者問題に苦慮している旨の回答をしている。
 また、後継者の候補としては、実子が五六.五%と最も多く、これを含めた親族への移譲が六九.二%を占めた。
 いうまでもなく、企業において経営者が果たす役割は大きい。とくに中小企業の場合は、唯一の意志決定者であるというだけでなく、技術者として、あるいはセールスマンとして、企業のナンバーワンであることが多い。加えて、「主な事業所(敷地または建物)を個人名義で所有している」、「個人資産に不動産を担保に金融機関から借り入れしている」など中小企業の経営構造が、後継者を子供に依存せざる得ない状況を作り出している。

後継者選びはもっとも
合理的な方法を選択する時代


 「子供がいない」「継がない」。しかし、「取引先との関係や従業員のために廃業するわけにはいかない」という場合は、子供以外から後継者を選ぶほかはない。そのためには、当然、個人資産と経営の一体化、職住の一体化といった経営構造を変えていくことが必要になる。個人企業の場合は法人化が前提。その上で、考えるべき第一の方法は、いわゆる番頭さん(多くは専務、常務といた役員)や従業員から選ぶこと。それには経営をオープンにし、従業員を意志決定に参加させるなどの人材育成がポイントとなる。社内の意思統一の重要性は言うまでもない。
 社内がダメなら外部からスカウト。それもダメなら……。というのが、従来の平均的パターンだろう。


中小企業静岡(1998年 12月号 No.541)