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無秩序という規制緩和に潜む“ワナ”

 業態変化が進む中、中小小売商業は、その数を急速に減らしている。平成六年度の商業統計では、全国の小売業の数は一五〇万店。前回調査の三年度では一五〇万店であり、この間に、実に十万店が姿を消したことになる。
 これらの現象には、勿論いくつかの原因が考えられる。大きな要因は、経営者の高齢化が進み後継者難に陥っていること、そして、何といってもこの長い不況感にある。
 しかし同時に、我々は、大店法改正の影響を深刻に考えねばなるまい。
 売場面積1000平方メートル未満の出店自由化は、大型店の出店と増床を加速させた。その結果、郊外にロードサイド型の大型店が進出し、今や中心商店街と郊外商業地の競争は激烈をきわめている。
 そうした中、政府の規制緩和推進計画にもとづく、大店法の見直しが今年行われようとしている。
 さきごろ、産業構造審議会流通部会と中小企業政策審議会流通小委員会合同会議においてその検討が始まった。私も全国中央会の会長として委員に席を置いている。
 私としては、これまでの改正でその目的は十分達成されており、これ以上の規制緩和は地域コミュニティの核である街の破壊にもつながることから絶対に行うべきでないと考えている。
 大店法改正の方向が、業界内にあって、単に無秩序に、資本力のあるもののみが、その力に任せて他を席巻するが如きものであってはならない。意気込みのある中小小売商の不断の努力に報いうる、均衡のとれた秩序こそが肝要なのである。
 今後、他の商工団体とも連携しながら、反対の主張を貫き通していく決意である。

      静岡県中小企業団体中央会・会長


 中小企業静岡(1997年7月号 No.524)
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