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「女性の翔ぶ日」

 抜け切れない“男性オンリー社会”
という古い概念

(株)大和シンク・エージェンシー
取締役社長 石 橋 達 也

 先ず、次の問題を考えてほしい。 『ドクター・スミスは優秀な外科医師である。
 アメリカ、コロラド州立病院の勤務医師として勤務していた。
 当直勤務の夜遅くなって、救急センターから緊急電話がはいった。
 「乗用車が路肩を外して崖下に転落。乗っていたのは二人の男性親子。運転していた父親と同乗の息子さんは二人とも瀕死の重傷。すぐ搬入するから手術の準備をして待機していて欲しい」との電話である。
 間もなくサイレンを鳴らして救急車が病院へ到着。重傷の二人は手術室に運び込まれた。手術用のゴム手袋をしながら手術台に向かったドクター・スミスは、患者の顔を見るなり、顔面蒼白。大変なショックを受けた。なんと若い患者の方は自分の息子だったからである』。
 そこで問題。若い患者は、もう一人の運転していた患者(父親)の息子である。にもかかわらず、なぜその息子の顔を見て顔面蒼白になる位ショックを受けたのだろう。
 ドクター・スミスと父親である患者との関係は?
 また、ドクター・スミスと患者の息子とは、如何なる関係の息子か?
 正解は、ドクター・スミスは女医さんであり、患者の父親はドクター・スミスの配偶者(ご主人)なのである。
 これは、アメリカ・コロラド大学の教科書に出ている話で、昨今、この問題をあれこれ考える余地のない社会が望まれている。
 こうした問題が出ると、われわれは、医師が離婚した先妻との間にできた置いて出た息子とか、患者の父親の奥さんとの間にできた不倫の子供ではないかとか、養子に出した自分の実子ではないかと考える。
 これらの回答の前提は、全てドクター・スミスを男性と直感して考える潜在意識があるからだ。
 女性の弁護士や医師は増えてきた。しかし、一般社会通念では、例えばこうした問題に直面すると、ある種の職業は男性オンリーの既存観念が抜け切っていない。
 給与規程の中の家族手当の記述に「妻 1万円、第一子 5千円…」などとする表現が未だ散見される。
 これでは、女性社員に対して病気で養生している夫を扶養する家族手当が支給されないことになる。男性社員が中心の過去の就労形態の遺物で、経営者や労務担当者が未だ、昨今の女性進出社会への理解が薄い証拠であろう。
 富士のトラック運送社会には、40人位のトラック運転手がいるが、その半数近くは女性ドライバーである。2トン車や4トントラックを毎日運転して仕事をしている。
 国際的な協会で静岡県内組織の統括事務局の事務局長は女性で、ややこしいプロトコルや議事規則を諳んじ、5千人余の会員事務をテキパキとこなしている。
 一般社会には、逆に男性中心社会の名残のある種の甘えにのった女性もいるが、船内総合研究所所長の女性を中心としたビジネス展開に注目する最近刊本を持ち出すまでもなく、雇用状況、マーケティング等の面でも女性を蔑視はできない。
 先月は「男女雇用機会均等」月間。同法が施行されて十年余。今国会には「均等」に関する義務規定が禁止規定として上提されている。女性活用に真剣に取り組む時期がきた。


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 中小企業静岡(1997年07月号 No.524)
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