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特集

静岡県の労働事情
21年度 中小企業労働事情実態調査結果の速報

女性従業員の1/3がパート労働者

経営状況「悪い」が80%超す

効果的な組合等による共同訓練

厳しさ増す新年度の新規学卒者の採用

調査のあらまし

中小企業を取り巻く環境は、「100年に1度」といわれる世界同時不況の煽りを強く受け、危機的な状況にある。

今回で46回目となる本調査は、こうした状況下にある中小企業の労働事情を的確に把握し、中小企業施策に反映させていくため、全国中央会を通じて、全国一斉に行なわれた。

  • 調査対象

    従業員300人以下の県内事業所800社

  • 有効回答

    450社(全国19728社)

  • 調査時点

    平成21年7月1日

  • 調査方法

    本会会員組合から業種・規模等を考慮し、対象組合を抽出。当該組合から組合員に調査票を配布し、本会宛に送られた回答票を集計。さらに全国中央会が各都道府県分を集計した。

  • 調査内容

    1. 経営
    2. 労働時間
    3. 従業員の教育訓練
    4. 雇用調整
    5. パートタイマー
    6. 新規学卒者の採用
    7. 賃金改定

従業員について

女性従業員の3分の1がパート労働者

回答事業所の常用労働者数は20,366人で、男性が14,717人(72.3%)、女性が5,649人(27.7%)。

女性の比率が高い業種は、「化学工業」(66.3%)、「小売業」(52.7%)で50%を超え、次いで「食料品」(48.5%)の順となっている。

一方、男性比率は、「運輸業」(85.4%)、「設備工事業」(84.9%)、「窯業・土石」(83.9%)などで8割を超えた。

雇用形態を男女別にみると、男性では、「正社員」が86.5%と圧倒的に多く、次いで「パートタイム労働者」(5.5%)が続いた。

「派遣」の割合は、「1〜9人」では0.0%であった。

業種別にみた「派遣」の割合は、「製造業」では4.4%、「非製造業」では1.8%となっている(図表1.)。

一方、女性も男性同様「正社員」が最も多いが、全体の52.9%と5割強にとどまった。次いで34.3%が「パートタイム労働者」となっている。

「派遣」の割合は、「100人〜300人」規模で7.5%と最も高く、「1〜9人」では0.9%となっている(図表2.)。

常用労働者の年齢構成(男女合計)は、「35〜44歳」が22.5%と他の年齢層に比べわずかながら多い。また、60歳以上の労働者は14.1%で、前年度の13.5%から0.6ポイント増加した。

「1〜9人」の事業所では、60歳以上の労働者が27.4%を占め、小規模事業所ほど高齢者に依存している状況が窺える。

図表1. 雇用形態の構成(男性/規模別・業種別)

(拡大図を見る)

図表2. 雇用形態の構成(女性/規模別・業種別)

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経営状況

経営状況「悪い」が80%超す

現在の経営状況は、「良い」が2.9%(対前年比マイナス7.9ポイント)、「変わらない」が16.6%(同マイナス15.2)とともに前年に比べ大きく減少した一方、「悪い」は、80.4%(同プラス23.0)と大幅に増加。景況の急激な悪化が見て取れる(図表3.)。

業種別では、「良い」「変わらない」と回答した事業所が、「悪い」を上回ったのは「窯業・土石」のみであった。

規模別にみると、「1〜9人」の事業所では「悪い」が75.0%(「良い」5.2%)であるのに対し、「100〜300人」では、91.4%と9割を超えた(「良い」1.7%)。

主要事業の今後の方針は、「現状維持」(64.9%・対前年比プラス2.1ポイント)、「強化拡大」(22.2%・同マイナス7.2)、「縮小」(12.0%・同プラス5.1)の順となった(図表4.)。

規模別では、「強化拡大」と回答した事業所が「100〜300人」で28.6%と最も多く、規模に比例して「強化拡大」の割合が高くなっている。

業種別では、「現状維持」が多い中、「情報通信業」、「印刷・同関連」などで「強化拡大」が50.0%を超えた。一方、「縮小」回答が多いのは、「木材・木製品」(37.9%)、「繊維工業」(30.0%)などである。

図表3. 経営状況の推移(静岡県計)

(拡大図を見る)

図表4. 主要事業の今後の方針の推移(静岡県計)

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「経営上のあい路」(複数回答)では、「販売不振・受注の減少」を挙げる事業所が対前年比で16.7ポイント増加し、65.8%と3分の2近くに上った。これに続くのが「同業他社との競争激化」(34.9%)、「製品価格(販売価格)の下落」(23.0%)。昨年最も多かった「原材料・仕入品の高騰」(19.5%)はマイナス38%と大幅に減少した(図表5.)。業種別では、「同業他社との競争激化」が、「製造業」の25.7%に対し、「非製造業」では43.2%にのぼった。

一方、「経営上の強み」(複数回答)は、「顧客への納品・サービスの速さ」と回答した事業所が28.2%と最も多く、7年連続1位となった。

次いで「製品の品質・精度の高さ」(26.1%)、「製品・サービスの質の高さ」(20.0%)の順となっている(図表6.)。

業種別では、「製造業」で「製品の品質・精度の高さ」(40.1%)、「非製造業」で「商品・サービスの質の高さ」(28.1%)と回答する事業所が最も多い結果となった。

図表5. 「経営上のあい路」の推移(3項目内複数回答:%)

図表6. 「経営上の強み」の推移(3項目内複数回答:%)