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視点・指導員の現場から

ピンチをチャンスに

“経済危機対策”

戦後最大の「世界同時不況」は、中小企業の経営を直撃している。中小企業経営や組合運営に携わる皆様は痛切に実感し、粉骨砕身の努力をされていると思います。本会が17業種87名の組合関係者に依頼している景況調査では、昨年12月に、前年同月比マイナス80と、最近10年では最高値を示した。

こうしたなか、政府は4月にこの難局を乗り切るため“経済危機対策”(以下「経済対策」)を打ち出した。

この経済対策には、1.底割れを回避するための緊急的な雇用・金融対策、2.中長期的な成長を図るための未来への投資などが盛り込まれている。

ものづくり補助金

経済対策には、多くの中小企業対策が含まれる。例えば、雇用調整助成金の拡充、信用保証協会による緊急保証枠の追加などである。

なかでも、新しく「ものづくり中小企業製品開発等支援補助金(ものづくり補助金)」が創設された。これは、わが国製造業の国際競争力の強化と、次代を担う新産業創出を目的としている。ものづくり中小企業にとって有効に活用できる支援策である。5月29日、平成21年度補正予算で、約572億円の予算枠が確保された。

同補助事業は、本会の上部団体である全国中小企業団体中央会が運営する。従って、本会も申込み受付や事業支援を行うことになる。以前中央会では、昭和63年の融合化法により異業種組合の行う新技術・新製品の開発支援を行った。今回のものづくり補助金はそれと比べ、個別企業が対象、予算規模も大きく、緊急の経済危機対策であることから、従来とは違う弾力的な運営が期待できる。

最高1億円を助成

補助金の具体的な内容は、中小企業が行う試作開発とその販路開拓を支援する「試作開発等支援事業」、開発した製品・技術の実証や性能評価を支援する「実証等支援事業」の2種類のメニューがある。

試作開発等支援事業は、新製品・新技術の試作開発における技術開発課題の解決方法に、中小ものづくり高度化法に基づく20分野の「ものづくり基盤技術(金型、鍛造、鋳造など)」の活用が必要。試作開発に必要な機械装置・原材料、試作開発に従事する人件費などが補助対象となる。補助金額は1件あたり100万〜1億円で、補助対象経費の3分の2以内を助成する。

実証等支援事業は、中小企業自ら開発した製品・技術の販路拡大を目指し、公設試験機関等への実証や性能評価を支援する事業。試験機関に支払う評価・検証費、研究開発費、技術指導費などが対象となる。補助金額は1件あたり50万〜500万円で、補助対象経費の全額を助成する。

2つの事業とも、全国で約2,000件程度を予定。第1回目の募集は6月24日に終了した。予算枠が限度であるが、第2回目以降の募集も予定している。

経済対策にはこの他に、政府の進める“未来開拓戦略(Jリカバリー・プラン)”も含まれビジネスチャンスにもなりうる。是非、有効に活用し、ピンチをチャンスに変えていただきたい。 (鈴木充)