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シリーズ「くみあい百景」

地域貢献と感謝そして
健康増進の気持ちをお弁当に込めて

吉原給食事業協同組合

住所:〒417-0852 富士市原田126番地の1
理事長:山本尊久
組合員:125社
設立:昭和38年6月
TEL:0545-52-3028
FAX:0545-53-0657

 

組合設立経緯

中小企業は、大企業と異なり従 業員規模等の課題から自前の社員 食堂を設けることが困難であった。

この課題を克服し、安価で良質 な昼食を従業員に提供したいと県下各地域の中小企業者で組織する 給食組合が過去12件発足した。 (現在6組合事業継続)

その中で昭和38年設立した吉原給食事業協同組合の現況を宇戸 専務理事に面談し取材した。

職員の意識改革と成果

山本尊久理事長
宇戸好幸専務理事

組合は、平成10年頃までは売 上高、利益率とも順調に推移していた。

その後コンビニ、スーパー、お 弁当専門店、会社形態による同業 他社の台頭によ り販売競争がますます激化し厳しい運営を強いられ“組合解散やむなし”とする厳しい意見が飛び交う中で、山本理 事長の組合職員に対する叱咤激励の言葉で組合再生に向けての活動 が始まったという。

その時理事長は「給食事業は長 期間、組合員とその従業員に支え られてきた。組合員の利用減少を 同業他社にあるとして、自ら改善努力を怠り事業を打ち切ることは無責任である。組合員もその従業 員も地域住民でもあるから“地域への貢献と感謝”の気持ちをもって明るく、元気に、楽しく頑張れ!」と職員に従事する姿勢を説 き求めたという。

その背景には“組合員が給食事 業を利用して当然”とする職員の他力的で組合員依存型の潜在意識への意識改革を示唆したものである。

これを機に“組合員が注文できない弁当を作って、どうして組合員のための組合か”と自力本願的姿勢が徐々に浸透し、その成果が、食の管理、メニュー企画、販促活動、 接客訓練、地域活動への参加意識に表れたと次の4点を語った。

安全安心な食の管理

食中毒対策について以前から注意を払っていたが、科学的な検査体制まで確立していなかった。

そこで昨年8月、さらに安全安心なお弁当を提供しようと食品検査室を設けた。原材料及び製造ラインから食品の抜取検査、 微生物検査を実施。抽出サンプルは6、12、24時間の間隔で管理分析、その結果を改善すべき製造ラインの特定に活用するなど厳しい検査体制が確立 したという。

健康志向で新メニュー

イメージアップのお弁当配送車

組合は美味しいだけでは満足しない。栄養士が調理師とタッグを組んで栄養価を考慮した献立を日々企画奮闘している。

そうした中、給食組合で組織す る協議会の協力で食物繊維を多 く含む食材を主体としたお弁当 “ペクセル”が誕生した。このお弁当には、組合員やその従業員の 健康増進を願う気持ちが込められ ている。

値段は低価格競争に逆行し一般 的な 給食弁当より高いが、気にな るメタボ人間からの注文が、徐々に増えているという。

また、お弁当の配送車両も様変 わりしている。健康増進を表現しようと“ペクセル”の拡大フイルム写真を車体に貼り、また、組合名は、漢字表記から親近感を覚え るよう“よしわら”とひらがな4文字にするなど、職員の願う率直な気持ちを表したという。

フードアウトレット

組合は新規組合員の獲得と需要 拡大を目指す販促活動が不得意であり、事務所工場外で働く現場作 業員への対応問題や余剰食の処分 問題も抱えていた。

そこで知恵を絞り新メニューや 既存食のPRと評価を目指すアン テナショップ機能を備えた標記店 舗を敷地内の一角に立ち上げた。

現在同店舗には、組合員の営業車に乗った現場作業員が続々と来店。また関係者の家族での行楽、町内での行事のお弁当利用者も増えているとう。

午後になると配送先で見かける 仕事帰りの主婦達が、コロッケ、ギョーザ、メンチカツなどのお惣 菜を数に限りあるためか、われ先 にと買い求めて行くという。

接客訓練と地域貢献

午前11時50分に始まる接客訓練

午前11時50分、職種別に1日3回接客訓練の専門家を招き大 きな声で「こんにちは、ありがと うございます!」と訓練が始まる。 また、地域住民への感謝と貢献を より具体的に表そうと“富士市ま ちの駅ネットワーク”に参加、市内を散策する人に休憩所とトイレを提供している。

更に、近隣の農家が作った規格外で減農薬の野菜販売を同店舗で支援。この活動と野菜中心のペク セルが評価され平成21年4月農 林水産省総合食料局長賞を受けた。