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視点・指導員の現場から

居心地よいSCありますか?

SCの最新トレンド

「ショッピングセンター(SC)の先進事例を視察したい」…魅力あるSCづくりを目指し将来方針を検討する、ある協同組合(大手スーパーをキーテナントとした地域専門店による共同店舗)から視察先探しの依頼があった。

早速、全国中央会の調査資料から先進組合事例を検索すると、商店街活性化の事例に比べ新しいSCの事例は少ない。さらに関係情報を探ってみると、相変わらず目に付くのは、国内・地域最大級!をうたった郊外型大規模SCの出店情報である。新設SCの多くが郊外立地であり、大手スーパーの拡大路線は止まるところを知らない。その一方で市場の飽和、競争激化によりコンセプトのはっきりしないSCは次々と淘汰もされている。

(社)日本ショッピングセンター協会が二年に一度実施する『日本SC大賞』(今年で第3回)で、金賞に「ららぽーとTOKYO-BAY」、ニューフェイス賞に「ラゾーナ川崎プラザ」、景観賞に名古屋市の「星が丘プラザ」、地域貢献特別賞に岩手県北上市の「江釣子ショッピングセンター・パル」など16SCが受賞した。いずれも、特有のコンセプトを打ち立て、テナントミックスを吟味し、工夫を凝らしたイベント等でその魅力をアピールする。

ラゾーナ川崎や星が丘プラザでは、人が集まり気持ち良く過ごすための空間演出が施され、自然を感じ街を歩く楽しみが味わえる。

江釣子SCは唯一協同組合組織であり、多彩な地域イベントや学校行事への協力、農業生産者との連携活動等を展開している。遠方ではあるが一度訪ねてみたい組合である。

ライフスタイルセンター

最近では、中心市街地において新しいタイプのSC出店も増えつつある。アメリカで生まれた「ライフスタイルセンター」といわれる業態もその一つであり、商圏を近隣に絞り、比較的高年齢層をターゲットとする小規模SCである。「顧客」より「住民」を意識し、買物だけでなくそこで過ごす目的で訪れてもらおうというねらいだ。

経済的余裕があり高級志向、情報や知識レベルが高いとされる団塊世代を中心としたシニアマーケットが拡大する中、中心商店街の核施設として期待が高まる。

癒しの空間に人を呼ぶ

駿東郡清水町に「ナチュラルビレッジ」という小規模郊外モールがある。バラ農園を中心に愛犬グッズ・エコ雑貨店、エクステリア工事店、ガラス工房、パン屋さん等が集積したもので、「自然」「共生」「健康」「手作り」「文化」の五つのテーマをコンセプトに掲げ、これらテーマにこだわりを持った商品やサービスを協力して提供する他、地域農産物の販売会や季節のイベント等を開催。癒しの空間を演出し、地域住民が集う場づくりと、来訪者の常連化を目指し、成果を上げている。

個店やSC経営は、街づくりや商品開発もそうであるが…地域性を踏まえたコンセプト、ターゲットの確立から始まる。不便でも、高くても、小規模でも、人を呼ぶ魅力づくりはできるはず!

(梅原)