静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2009 January No.662 医療機関の連携で安心の医療提供体制を実現静岡医療介護支援事業協同組合
世界有数の長寿大国昨年7月、厚生労働省から国民の平均寿命が発表された。女性は、昨年より0.18歳延び85.99歳、男性は0.19歳延び79.19歳となった。国際比較においても、女性は第1位、男性は第3位と、世界でも有数の長寿大国となっている。 このように、毎年、わが国の平均寿命が伸長している理由は、国民皆保険制度と呼ばれる公的医療保険制度の充実や、高い医療水準を維持していることなどが考えられる。 しかし最近、わが国において、医師・看護士不足、産科医療や小児救急医療などの分野で、国民の医療に対する不安が広がり始めている。 医療関連機関がスクラム
当組合は、安心できる医療提供体制を確立するために、病院、一般診療所、保険薬局、老人福祉・介護事業所がスクラムを組み、平成17年4月に設立された。組合員は4人、静岡県民主医療機関連合会(静岡民医連)で活動を共にしている医療機関である。静岡民医連とは、全日本民主医療機関連合会(民医連)の下部組織である。民医連は、戦後、医療に恵まれない人々の医療ニーズに応えるため、地域住民と医療従事者が手を携えて誕生した、医療機関の全国の連合組織である。 “いのちは平等である”との理念のもと、47都道府県、1700ヶ所の医療機関が加盟している。「組合員は民医連の理念に基づき地域医療に従事しており、意思疎通は強固である。患者の立場に立った医療・福祉サービスの提供を維持するためには、経営の合理化や人材育成が不可欠。他県のモデルを参考にしつつ、組合員の共通する部門を共同化するため組合設立に踏み切った」と吉岡理事長は設立理由を述懐する。 組合員は4人であるが、組合員傘下の事業所は、病院1ヶ所、一般診療所4ヶ所、保険薬局4ヶ所、訪問介護事業所7ヶ所、その他事業所7ヶ所と、充実した医療介護ネットワークを持つ。また、その所在地も、三島市、函南町、静岡市、浜松市など県下全域にわたる。 スケールメリットの追求
組合の行う主な事業は、共同購入斡旋事業、共同労務管理事業である。 共同購入斡旋事業は、組合員傘下の事業所で使用する医薬品、医療器具材料等の購入を斡旋する。 「薬事法で組合が直接医薬品を購入することはできないが、スケールメリットを活かし卸業者と価格交渉することで、有利な条件での購入が可能となった」と理事長は、そのメリットを強調する。 現在、組合が指定する購入先は7〜8社。三島市にある組合事務所で、斡旋部に所属する2名の職員がその対応にあたる。 「医療器具は種類が多く、注文された器具を探すことに苦労もあるが、緊急時を含め素早く対応できるように努めている」。担当の高橋氏は、健康を守る使命を語る。 共同労務管理事業は、昨年9月から新しくスタートした。斡旋部の近くに位置する組合事務所で、労務管理部の職員4人が事務処理にあたる。組合員の給与計算、上部団体の共済加入手続きの代行、帳票類のコンピュータ入力などが主な業務である。 「労務管理事務は専門性を有し、雇用があれば必ず発生する事務処理である。組合員が共同化することで、経費負担の軽減に寄与できる。さらに研究を重ね、事務集中化を追求していきたい」。小峰部長は、その決意を語る。 将来の医療従事者の養成支援今、全国の医療現場で人手不足が深刻になっている。過酷な労働や長時間勤務など医療現場の労働環境は厳しいものがある。 組合では、医療現場の人材を確保するために、静岡民医連と連携し、医学生・薬学生・看護学生の奨学金斡旋など、将来の医療機関従事者の養成に力を注いでいる。また、今後は、ヘルパー養成講座なども、積極的に開催していく予定である。 「長寿社会を迎え、介護サービスなどを希望する人の数は、益々増える。必要な時に、いつでも誰もが、安全安心な医療や介護サービスなどを受けることのできる医療体制を目指し、組合活動を充実させていきたい」と理事長は、市民の健康維持のために心血を注いでいる。
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