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クローズアップインタビュー

全国大会で“組合功労者”受賞
給食パンにおいしさと楽しさを込めて

静岡県学校給食パン協同組合・静岡県パン工業協同組合
石上道雄 理事長

昨年11月20日、仙台市で開かれた第60回中小企業団体全国大会で、組合功労者として表彰された。

「諸先輩を差し置いていいのかな、が率直な心境」と謙虚に受け止める。だが、その実績に異論を挟む余地は全くない。

昭和51年、34歳で理事に就任。四半世紀にわたり組合運営の舵取りを担い、平成13年、衆目一致でトップに立った。

理事に就任した頃、学校給食は大きな転換期を迎えていた。戦後、一貫して主食の座にあったパンに加え、米飯も出されるようになったのだ。

「パン屋がご飯をつくることには抵抗がありましたよ。だが、米食への対応は待ったなしだった」と振り返る。30代の若き理事が陣頭に立ち、効率的な設備や人員の配置、製法などを組合員に説いて回った。

「パン釜でご飯を炊いたり、使える設備は併用したり、いろいろ工夫をしましたよ」。

この精力的な取り組みが実を結び、現在では、組合員30社全てが米飯を手がけ、米飯のみを扱う組合員もいるほどだ。

「給食に安全・安心は当たり前。おいしさと楽しさがなければダメ」と強い信念をもつ。ねじりパンやロールパンをはじめ、お茶やみかんを使用したパンなど、これまでに生み出した新製品は100種に近い。昨年には、カレー用の“ナン”もメニューに加えるなど、その湧き出るアイディアは、とどまらない。

少子化の影響から、こどもの数は減り続け、組合員数も30年で3分の1以下となった。

「組合員のいない地域が出始め、給食の安定供給に支障が生じつつある中、組合員同士がカバーしあうなど、組合の重要性は増しています。皆でアイディアを出し合い、使えるものは何でも使う。“厳しい、厳しい”といっているだけじゃ解決にはならない」と強力なリーダーシップのもと、組合は一丸となる。

昭和16年創業の老舗、清水製パン(株)の二代目。20代で父から社長の座を受け継いだ。祖父は和菓子職人だったという。

「組合に入った当時、祖父や父の年代の組合員にいろいろと教えてもらった。今はその子や孫の世代と付き合っている。これも恩返しと、理事長を務めています」。

毎月10日、気のおけない仲間とお酒を酌み交わすのが楽しみ。

「10人の集まりだから10日に集まろうと決めた。もう40年以上になるかな。泊まりでやることもあります。家族も心得たもので、私が忘れていても“今日は10日でしょ”って教えてくれるよ(笑)」