静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2008 January No.650 秋の叙勲で旭日双光章を受章
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静岡県鉄筋業協同組合理事長 |
平成19年秋の叙勲で旭日双光章を受章した。
「身に余る光栄。私個人ではなく業界全体で頂いたもの、と理解しています」。
社団法人全国鉄筋工事業協会の副会長を務める業界の重鎮のことばには、鉄筋業が戦後の建設業発展の担い手として果たしてきた役割への自負が込められる。
まだ戦争の傷跡が残る昭和24年、中学を卒業したばかりの少年が、鉄筋業界に飛び込んだ。全てが手仕事。鉄筋は手で曲げた。
「何度、辞めようと思ったことか。しかし、その都度、親方から『新しい日本をつくるために、なくてはならない仕事なんだから頑張れ』と励まされました」。
そのことばに偽りはなかった。東京タワーや荒川放水路など技術の粋を集めた建設工事に県内からも多くの職人たちが携り、技を競い合った。
30歳を超え、独立を志した。
「快く送り出してくれた親方には、言い尽くせないほど感謝しています」と亡き師匠への敬慕を募らせる。
絶え間ない向上心に加え、経営者としての手腕も発揮。県内の大規模建設プロジェクトにはほとんど関った。当時手がけた建築物は、建て替えの時期を迎えた。解体現場から自ら曲げた鉄筋を貰い受ける。当時を忘れず、自分への戒めにするためだ。
元請に対しても歯に衣を着せず鉄筋業者の置かれる立場を訴える。
「我々は元請から『鉄筋屋』と呼ばれ、1段低く見られる存在。同じ建設産業に携る業者として対等な立場で仕事がしたい。そのためには組織の力が必要だと考えていた」。
昭和49年、県内の鉄筋業者を束ねた県鉄筋業協会の立ち上げに参画。平成10年には、県鉄筋業協同組合理事長に就任。業界のまとまり=和を常に念頭におき舵を取る。全国鉄筋業協会では10年近くにわたり、安全・福利厚生委員長として、働く仲間たちの職場環境改善に取組んだ。
「専門工事業者は何層にも重なる下請構造の中で、しわ寄せを受けている。労働条件も決して良くはない。これじゃ、この業界に入ってくる若者はいないし、見どころのある若者も辞めてしまう。どんぶり勘定の体質から脱却し、元請とも対等に交渉ができる経営体質を身につけることが絶対に必要だ」。
40年以上続けハンディ10の腕前だったゴルフは、70歳を期にやめた。「これ以上やってもまず上達しないからね」と潔い。
「最近の楽しみ?業界の定例会でいく全国の湯治場めぐりかな」。
中小企業静岡(2008年1月号 No.650) |
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