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 特 集 
 専門家の眼 
 「くみあい百景」 
 編集室だより 



指導員の現場から
中心市街地は今



 平成十年に「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(中活法)」が施行された。
 これまでに全国から出された計画策定件数は、基本計画が六○四件、TMO構想が三一二件、TMO計画に到っては一四七件(平成十五年十二月末日現在)と思うように進んでいない状況にある。
 TMO計画は商業環境施設、共同店舗などハード事業が中心であったが、経済環境の悪化もあり、現在は事業負担の多いハード事業より、地域でのコンセンサスが得られやすいソフト事業を優先すべきだとの意見も多い。
 中心市街地活性化の主役は誰か。商業者が事業を行うためのものか、それとも地域住民のものなのか。
 大都市圏を除き、商圏のドーナツ化が完全に定着しつつある今日、活性化策を模索している多くの中心市街地で今、各地域の個性を生かした「生活の拠点」としての中心市街地が担う機能が見直され始めている。

生活の拠点として

 中心市街地が生活の拠点であるという意味では、時代の変化や人々のライフスタイルに影響されず、市民の生活市として、一六九○年から三一三年も朝市を中心とした街路市(いち)を行っている都市がある。
 高知市の街路市である。
長い歴史は住民の生活市として認知され、常に住民の心を掴んだ結果といえる。
 高知城追手門から東西一キロメートルに六○○軒もの店が連なり、毎週日曜日に開かれる市には、一日四万人の人出と規模・歴史ともに日本一を誇っている。
高知市役所にも担当課(産業振興総務課街路市係)が設けられるほど積極的に取り組んでいる。
 県内では富士宮市の十六市が目を引く。富士宮駅前のおかみさんの会(増田恭子会長)が行政の支援に頼るという意識を全く持たずにはじめ、今では市そのものに地域以外も合わせ様々な人が出展してきている。
 商店街の人も小学校に出向き、商業やその事業について講義を行い、子供たちに理解を得るための努力を行い、子供たちが市で店を出すまでになっている。
 経済環境の悪化と同時に社会環境も悪化し、凶悪犯罪も増え、社会全体は不安な状況にある。警察などによる治安維持は必要であるが、本当の犯罪を未然に防ぐのは、人に対する思いやり、心ではないだろうか。
心を暖かく豊かにすることが犯罪などの抑制につながるものではないだろうか。
 中心市街地が本来の生活の拠点となり都市のコントロール機能を持つことが、街自体の明るさを維持し、犯罪などの減少につながるものと思われる。
 商店街ばかりではなく、社会との共生を目指すことはどの組合でも必要と思われる。地域に認知され、地域とともに歩むことは、これまでにない視野も広がり組合をさらに大きくする要因になる。
 今まさに、地域連携の時代が到来したと私自身考える。
(大村吉夫)



中小企業静岡(2004年3月号 No.604)