住宅関連企業のリフォームへの参入は年々激化してきた。市場が縮小し、量的拡大が難しい時代に入り、住宅会社や有力工務店が入り乱れた市場で激烈な戦いが始まった。
民間研究所の調査によると、二○○○年に四兆七千九百億円だった住宅リフォーム市場は二○○五年には六兆円規模に拡大する。これは高度経済成長期に建てられた住宅が本格的な増改築の時期を迎えているためである。
一九八九年(平成元年)には年間百六十七万戸の持家・分譲といった新設住宅が着工された。これが年々
減少し、九八年(平成十年)には百十八万戸まで落込んだ。さらに昨年度は百十七万戸になり、二○一○年頃には百万戸まで減少する見通しである。
過去一○年間で戸建注文市場がピークになったのは一九九六年度の六十三万六千戸。二〇〇一年度には三十七万七千戸と最低水準になった。静岡県は、ここ数年ほぼ横ばいで、安定的な工事があったと言える。
今後は市場縮小の中で
大手住宅会社と中小工務店との間で顧客獲得をめぐる競争が激化することになる。
こうした環境下で住宅関連業種では生き残りを賭けた戦いが始まっている。
ここでは中小企業活路開拓調査・実現化事業の組合事例を紹介しよう。
静岡県西部屋根工事業協同組合は、年々減少している市場で新規事業の開拓を求め、リフォーム事業への進出に取組んでいる。
屋根葺き替えリフォーム事業は、建築から二○年を経た住宅が年々増加していることもあり魅力的分野である。そこで組合は、リフォーム事業部門を設置し、
二つの事業形態を追求する。
一つは屋根葺き替え専門のリフォーム分野への進出である。元請企業としてOB顧客に向けた営業展開を図り販促、受注・施工といった業務の標準化を行う。
二つめは異分野企業と連携したリフォームへの進出である。特に有力小売業との連携によって連携先から受注を受ける。
今年度は、この方法を実践することでリフォーム事業が実現化の見通しにある。
日本住宅リフォームセンターによれば「四千戸エリアには六億円の水まわりリフォーム需要が見込まれる」という。浜松上下水道協同組合は浜松市の二十万戸から三百億円の潜在需要を目指して「水まわりリフォーム事業」研究に取組んだ。組合員の生き残りは水まわりリフォーム事業部門を設け元請化を目指すことである。いずれも住宅需要の低迷が新規事業を模索させたものである。
景気が低迷する中、組合も組合員も活力ある事業を求めている。中小企業活路開拓調査・実現化事業は組合の抱える問題や課題を直視し解決のための新たなビ
ジョンを策定する。しかし、組合の進むべき方向が見出せても実践には多くの困難を伴う。この困難を乗り越えてこそ道は開ける。その一歩を踏み出さなければ何も変わらない。 (禎)
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