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特 集

住基ネット〜電子入札まで

整いつつある
ネット社会への基盤



 八月五日、住民基本台帳ネットワークの運用が開始された。IT、電子政府といった言葉を他人事のように捉えていた人々にとっては、否応なくネット社会に組み込まれていくことを認識させられることとなった。
 さらに、電子入札など対応いかんで中小企業の存続を左右する可能性を秘めた課題も推進されている。
 しかし、その重要性は認めながら何がどう進められているのか、わかりずらい問題でもある。
 本誌でも何度か中小企業の情報化への取組みを扱ってきたが、今回はむしろその前提となる電子ネット社会へ向けた基盤整備の動きについてスポットをあて、現状をもう一度確認してみたい。



ネットバブルははじけたが…

 ネット専業企業の倒産、もてはやされてきたIT関連企業の株価の低迷…。ネットバブルがはじけ、IT狂想曲に辟易していた人の中には溜飲を下げている人もいるはず。
 しかし、ネット社会は勝ち組、負け組企業を明確にしながら、日本でも着実に侵蝕している。
 例えば、eコマース(電子商取引)の世界では、二〇〇〇年にネット通販の一社が売上げ百億円を記録(日経流通新聞・eコマース通信販売調査より)。まだ、以後数社がこれに続くと見られている。
 先進国の米国で、ネット販売最大手のアマゾン・ドット・コムの年商が一億ドル(百二十億円)を超えたのは一九九七年のこと。日本は三年遅れで同規模を達成したことになる。国内のeコマースもようやく本格ビジネスとして形が整ってきている。さらに、ブロードバンド(高速大容量)の普及を背景に小売の情報技術の活用が新たな段階に入った。
 eコマースでは動画の活用など新しい試みが始まり、POS(販売時点情報管理システム)など後方支援システムも進化し、流通業界に革命を起こしている。
 総務省の予測では二〇〇五年度末には一九七〇万世帯がブロードバンドを利用する見込み。企業の導入も進み、小売店の姿も大きく変えそうだ。

厳しさを増す取引先の選別

 製造業においては、大手メーカーは従来の取引先に拘泥せず最も安価な供給者を選別する方向が強まっている。とくに自動車産業や電機・通信機器産業では従来のグループの枠を超えたネットワーク調達により大幅なコスト削減を実現しようとしている。
 こうした調達方式の変化は一層の競争激化と低価格化・短納期化を招き、従来システムに依存する中小企業の倒産や廃業に拍車をかけることが危惧されている。

消費者向け電子商取引の市場規模
2001年実績
商品・サービス
2006年予測
1,480億円
PC及び関連商品
5,670億円
1,190億円
旅行
2兆3,770億円
1,090億円
エンターテーメント
1兆1,240億円
340億円
書籍・音楽
5,360億円
580億円
衣類・アクセサリー
1兆3,290億円
70億円
ギフト商品
1,590億円
560億円
食料品
1兆1,830億円
490億円
趣味・雑貨・家具
1兆630億円
3,470億円
自動車
2兆3,110億円
3,260億円
不動産
1兆4,160億円
980億円
その他物品販売
1兆510億円
630億円
金融
6,140億円
700億円
各種サービス
2兆5,670億円
1兆4,840億円
合計
16兆2,970億円

注:経済産業省、電子商取引推進協議会ほかの調査より


中小企業静岡(2002年 9月号 No.586)