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区長も選出「地域と係わり深い」

 組合の設立は昭和四三年。実際に各店舗が操業を開始したのは、四六年のことである。静岡県下では、浜松市の卸団地が同じく四三年、静岡市のそれが四四年という同時期にスタートしている。とはいえ、他卸団地と事情が違い、設立当初は「役員の苦労は並大抵ではなかった」という。
 その事情とは、沼津卸団地といいながら、実は清水町にある、ということに原因がある。
 「計画では、沼津市に団地を建設するというものでしたが、土地の手当てがつかず、結局清水町に決定。通常なら沼津市なりの土地開発公社が土地買収、契約、造成そして組合へ引き渡すという手順でしょうが、清水町に決定した段階で沼津市は手を引く。したがって、すべてを組合役員がやらなければならなかった」(同常務)といい、「役員も買収交渉には、夜討ち朝駆けという状態」(同常務)だったという。
 昨年、三〇周年記念イベントを実施し、地元の住民を含め約八千人が祭りを楽しんだという。このイベントだけでなく、団地の地域とのつながりは大きい。経済的波及効果でいえば、町への固定資産税だけで組合は約一億円、当然、従業員も地元雇用が多い。清水町にとって卸団地の存在は大きい。
 「ここは卸団地区なんです。もちろん区長を選出し、町の行事、寄付、祭りの参加も積極的です」と総会資料にある「町の卸団地区としての活動」記録を見ながら市川常務は説明。そこには参加関係団体の一覧がならべられているが、湧水まつり実行委員会、国際交流会、柿田川保全の会、姉妹友好協会、社会福祉協議会などなど各種の役割を組合が担っていることがわかる。

順調な組合経営だが、悩みも

 組合の事業も多岐にわたり、その規模も大きい。
 主要事業を列記すれば、金融事業、展示場事業、駐車場事業、ガソリンスタンド経営、テナント事業など。
 特に金融事業の扱い高は大きく転貸融資、債務保証、車両ローンなど合わせて約八〇億円の取り扱いとなる。だが、悩みもある。
 「土地価格の下落という現在、過去の評価で融資も実行している。組合員のことを考えれば、担保評価を下げる訳にもいかない。とはいえ、万一の時のリスクも存在するわけだし」(同常務)と苦しい胸の内を述べる。
 また、ガソリンスタンドの経営は堅調で一般販売店と違い、油外収入つまり車両のメンテナンス、タイヤ販売などの売上の多いのが特徴。「これも当初からの目標」だったという。厳しいのは展示場経営である。組合施設の展示場は組合員、組合員外の展示場として使用料を徴収する訳だが、「沼津のキラメッセの影響なのか、ピーク時より半減以下の稼働率」と厳しい。
 それ以上に卸売業界そのものも厳しい時代を迎えているという。
 「卸売業者で構成された団地であるが、業界そのものが大きな変化に見舞われている。企業も組合も大きく変革しなければ、衰退してしまう。今後の団地運営も卸売業だけに限定せず、異業種の導入など自由な発想で考える必要を感じる」(同常務)という。
 確かに、厳しい時代に向かいつつあるが、組合員の英知を集め前進してほしいと思う。


中小企業静岡(1999年 7月号 No.548)