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富士の叫び

今こそ求められる企業倫理の確立

若葉が青々と芽生える5月。今年も多くの組合が総会を開催する季節を迎えた。この前年度の総決算と新年度の船出にあたる総会が済まないと事実上新年度はスタートしない。特に本年は、昨年行われた組合法改正により、総会開催の手続きが大きく変更されて初めて迎える総会である。各組合ともその準備や運営にご苦労されていることと思うが、一年間の方向性を決定する重要な場であるので、法の精神の遵守と万全の運営を望みたい。

さて、昨今、企業倫理の確立を含めコンプライアンス(法令の遵守)に関する話題を頻繁に耳にする。行政サービスをはじめ、消費財、構造物、保険商品など人々が生活するあらゆる場面で話題となっている。ものづくりの現場に限れば、製造物責任法やISO9000、14000など、生産された商品に対する責任、生産方法・管理体制、安心・安全なものの社会への提供、さらに環境への配慮が、当然の企業責任の如く求められる時代である。

近年、著しく国際化が進展する中で、企業に求められる倫理観はその達成が望まれている。

去る3月、松下電器産業が9千社の調達先と社会的責任の遵守を求める契約を交わすとの記事が新聞紙上を賑わした。今後、法令遵守や環境への配慮などCSR(企業の社会的責任)を基準に部品・原材料の調達先選別を行うというものだ。

さらに、上場企業の後を絶たない粉飾決算や証券取引法違反が引き金となり、会計監査制度の充実や企業の内部統制強化を求める、通称「日本版SOX法案」が金融庁から出されるなど行政も動き始めている。いずれも企業倫理に関わるものであり、今後、規模の大小を問わず避けて通ることはできまい。

しかし、見方を変えれば、これらに積極的に取り組むことで、企業体質の改善や企業価値の向上に結びつけることができる。多くの中小企業が、この眼前の難題をチャンスへと変え、力強く前へ進んでいくことを期待する。

静岡県中小企業団体中央会・会長 井上 光一