富士の叫び 
 FLASH 
 特 集 
 海外ルポ 
 視 点 
 くみあい百景 
 ワンポイント 
 編集室だより 



海外ルポ

『現代中国見聞録』

水上 一夫
(静岡県中小企業団体中央会 参与)






▲豪華な近代的ホテルの傍らでは、昔ながらの庶民の
 生活が息づいており、急変貌する過程にある中国の
 一端を表している。

国際空港までわずかに七分

 上海を中心とした経済圏域の人口は、一億人とも言われ、民度も中国一高い地域である。その上海の中心地から浦東国際空港まで、リニアモーターカーが完成し、四月から営業運転にはいる。空港への専用的道路でも、車で一時間かかるのに、リニアではたったの七分。東京駅を想定すれば、品川か上野、いや七分という時間では、東京駅そのものが即“成田空港”といっても過言ではない。
 しかし、運賃が普通席で往復一五〇元と高いので、月収が六〜七〇〇元とすれば、「普通の中国人は観光用に乗る程度でしょう」という現地人ガイド嬢の解説をふくめ、一国二制度ではないが、同じ国内に二十年以上の時差(格差)のあることが、妙に納得できた。

新旧、貧富が奇妙に混在する

 三十階を超す世界のどこに出しても、トップクラスの超豪華なホテルの隣接地に、屋根が大きく傾き、朝青龍が一突きすれば簡単に倒れそうな民家が密集している光景が、アチコチに見られる。
 タクシーは国家の方針?にもとづいているためか、すべてわが国より高級な大型ワーゲンに統一されている。そのタクシーの前後には、日本流にいえば人力の大八車に、今にも崩れ落ちそうに荷物を山積みにし、悠々と引いている荷車が奇妙に見えないのが不思議だ。
 また、そのすぐ脇では路上にハミ出して、将棋?らしきゲームをやっており、休日でもないのに大勢の人がワイワイとのぞきこんでいる、そんな牧歌的なシーンにも出くわした。これも急変貌する過程にある現代中国の象徴的な姿であろう。


中小企業静岡(2003年 2月号 No.591)