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指導員の現場から
顧客が評価する



 ベルリンの壁が崩壊して三年後の九二年、宇宙に飛び立った毛利さんは「宇宙からいっさい国境は見えません」と感想を述べた。
 それから今日までの日本では、バブル崩壊後の失われた十年とか、グローバリズムの台頭とかいわれ、多くの企業が競争の舞台から去っていった。
 こうしたなか、大小問わず企業では事業再構築を進め、優秀な人材を擁して強みのある経営をめざしている。「失われたものの一つにかって世界に誇った日本式経営システムがある」と揶揄する向きもあるが、いずれにしても、そこで直面 するのが直接・間接に国際化の嵐にさらされている企業の新しい目標にふさわしい人材をどう育てるか、その基礎となる評価をどうするかであり、人事評価(考課)システムも着目点の一つにのぼる。ほとんどの企業が能力・年功主義から成果・業績主義をめざしているものの、完全なものはないのが現状だろう。
 「うちも専門家が入って新しい人事考課システムを作ったんだけどひどいもんだ、やる気をなくすね」という声も聞く。私ども中央会でも二年前から少しずつ制度化を進めてきたが、その担当者として難しさを痛感している。人を評価する絶対的な仕組みは無いというものの、がんばっている人が評価される仕組みは必要だ。誠実に着実に行なって、教育制度と上手に連動させることで効果があがることを期待している。

難しい人の評価

 ところで、厚生労働省の調べでは、企業の半分に人事考課制度があり、そのうちの九〇%の企業が自社の人事評価制度に問題があると考えている。不公平感の解消、個人の能力や努力以外の要因の評価などが、制度の課題だという。
 インターネット上で「間違いだらけの人事考課」というサイトをみつけた。
問「誰が評価するのか」、答えは、上司が評価する、と思ったら「顧客が評価する」。上司にとって良い人間ではなく、顧客にとって良い人間でなければならない、の意だ。問「上司の応援を断ってでも自分の仕事を一人でやるのは、責任性でプラスに評価できる」、答えは「いいえ」責任性とは仕事を早く確実に完了するための行動であり、喜んで受けるべき、とある。こうしたテストで私は散々な結果だった。「自分の器の大きさでしか人を評価できない」とあるときいわれた言葉が突き刺さる。
 「うちは従業員が数十人で、一人ひとりの癖までわかっている。人事考課なんか必要ないね」という向きもあろうが、企業の目標と必要な資源という意識で、きちっと人(従業員)と向き合うことで自社の強みや弱みが見えてくる気がする。
 中央会では、昨年度の中小企業団体県大会で「活かせ“人財”二十一世紀型経営への挑戦」と、人の重要性を訴えた。今年度は「中小企業人材活用経営モデルの研究」をすすめる。
(俊)


中小企業静岡(2002年 7月号 No.584)