育まれてきた旺盛な事業意欲
一大部品供給地を形成
「やらまいか」。浜松の積極性をこれほど端的に表現する言葉は、見当たらないでしょう。
浜松は明治以降、楽器・木工機械・紡績機械・オートバイ・光電子産業など多くの産業を産みだし、育てるとともに、浜松地域テクノポリス、浜名湖頭脳公園、国際コンベンションシティ構想、大規模な中心市街地の再開発事業など工業を核とし、他都市には例を見ない発展を遂げてきました。
この背景には、東京と大阪のほぼ中間に位置するという地理的な条件、温暖な気候、天竜川水系の豊富な工業用水など、工業都市として発展する上で不可欠な諸条件が備えられていたことは事実です。
しかし、これら以上に欠かすことができないもの、それが「やらまいか」精神に代表される、旺盛な事業意欲ではないでしょうか。
浜松の製造関連中小企業の特長は、部品製造・加工請負の比率が他地域に比べ高く、下請取引が全体の七割を超える、という点にあります。
これを「中小企業のまち」として知られる東大阪市や東京都大田区と比べると、両者とも自社完成品の割合が高く、下請取引は五〇%以下となっていることからも分かるとおり、浜松の中小企業の特長が一層、際だちます。
つまり浜松の製造業は、大手企業へ部品供給を担う数多くの中小企業により支えられている、ということになります。
技能向上の一翼を担う
浜松市では、工業発展の基礎となる技術者の技能・技術の向上、意識の高揚を図るため、昭和四二年から「技能競技大会」を開催しています。
技能競技大会は、本会をはじめ浜松市・浜松商工会議所・市内の機械金属関連三組合の六機関が主催。本会浜松事務所に事務局が置かれています。
二〇代名工も
毎年、主催組合に所属する企業の従業員が旋盤・アーク溶接・装飾クロム鍍金・亜鉛鍍金の四種目について腕を競います。
上位入賞者は、機械金属産業関連組合の企業に就職する新入社員を業界全体で迎えようという趣旨から毎年開催されている合同歓迎激励会席上で表彰されています。
さらに成績優秀者は、造園・内装工事・畳製造・紳士服仕立・和裁・ピアノ調律など各分野から選ばれる優秀技能者とともに、「はままつの名工」として称揚されます。今年度は、毎年優秀な成績を挙げている二〇歳代の技術者が「名工」に選ばれたことからも分かるように、高い評価を受けています。
自明のことですが、品質の高い製品を作り出すためには、確かな技術や技能に裏打ちされていなければなりません。
その一翼を技能競技大会が担っている。こうした意識をもち、今後も事務局を預かっていきたいと思います。
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