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組合の設立は活発化している

 昨秋の国会は、総理大臣自らが“中小企業国会”と名付け、三六年振りに中小企業基本法を抜本改正したのをはじめ、実に八五件にのぼる法律をつくり、中小企業への積極的支援に乗り出した。
 しかし、私は初めから、その成果にクエスチョン・マークを付けてきた。なぜなら、その第一は中小企業の範囲である資本金の上限を一挙に三億円に引き上げたことに象徴される、強い中小企業をさらに支援し、国際競争力をつけようとしていることで、そのことによって、小零細企業が更なるシワヨセをくうことがあってはならないことを心配するからである。
 第二は“組合から個、一般企業からベンチャー”に傾斜した支援策が中心で、組合の存在が相対的に低下することを危惧するからである。
 言い換えれば、在来型の中小企業はそのままにして、ヤル気のある強い企業のみを施策の中心にすえ、いわゆる護送船団方式からの脱却を図ったと言える。
 もちろん私としても、今日のようにグローバル化し、IT革命が喧伝される状況下での政府の方針に真っ向から反対する気持ちはない。
 ただここでは、次の事実だけは強く指摘しておきたい。
 「それは組合の設立が活発化していることだ」
 本県の実状をみると、組合の設立は前年を上回り、一般企業の創業率が廃業率を下回っていることと好対照である。われわれ中央会の本命事業である、組合数は若干ではあるが、着実に増加している。
 政府は、「護送船団方式はダメで“個”が強くなれ!」と言っているが、仮に弱い個であっても、組合を組織し、強い集団を目指す事例が増えている事実を、政策当局者には決して忘れてもらいたくないものである。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(2000年 7月号 No.560)