ネットサーフィング
富士の叫び
フラッシュ
特集
クローズアップ
助成事業募集
REPORT
ネットワーク
展示会情報
組合百景
読者プラザ
編集室だより


「映画館へ」

志太榛原電気工事事業(協)

中嶋 智恵子

 両親の洋画好きが遺伝したらしく、映画館で映画を観るのが好きだ。
もぎりを抜け、レザー張りの扉一つ隔ててしばし暗闇に心を開放する。
あの扉の存在は深くて重い。
 映画は賭けに似ている。
期待通り、嬉しい誤算、料金返せ等、結果が予測できない事がママある。
ただ、概ね観終わった時には、表現し難い感情の波が細胞の隅々まで行き渡っていることを実感するのも、又事実である。
その感情は記憶の底にインプットされ、何かの折に表出する。
主題歌、ワンカット、セリフ等形を変えながら。
 映画館のあの扉の向こう側で、心の震えを、我知らず慟哭してしまう事を味わいたくて、今日も又、私は映画館へ足を運ぶ。



「裁量のゆくえ」

中央会浜松事務所

田中 秀幸

 家康が指揮する東軍10万、三成らが率いる西軍8万。霧咽ぶ慶長5年9月15日早朝、雌雄を決する大戦が始まろうとしていた。
 関ヶ原合戦である。
 覇権を手中にせんとする家康、義を正義とする三成。
その三成への友情に殉じた大谷吉継。択一を迫られ、戦場にあってなお逡巡する小早川秀秋。
自尊心を傷つけられ決戦地の只中で憤然と仁王立ちする島津惟新。
 壮大な御弓矢(戦さ)の顛末はさておいて、権欲、義、友情、逡巡、豪気、そして打算・・・。
様々な想いが狭隘な盆地に結集した人間図会は実に興味深い。
 不確実の時代、組織の盛衰にあって袂を分かつとき、自らが何を拠所としてどう裁量するのかを日頃より心掛けねばならない。


中小企業静岡(1999年 10月号 No.551)