ネットサーフィング
富士の叫び
フラッシュ
特集
REPORT
ネットワーク
東西見聞録
組合百景
読者プラザ
編集室だより





▲講演中の大矢息生教授。


3.少額訴訟の特色

 「少額訴訟制度」が施行され、一年経過時点の集計では、提訴数は八三四八件に達し、以後も件数が伸びている。
 少額訴訟の基本的な考え方を達成するために、その手続きには、次のような特色と十の特則が定められている。
 なお、ここでいう「特則」とは、裁判のスピードアップをはかるために通常訴訟に対する特別の規則をいう。専門用語もあり、少し取り付きずらい点もあるが、ポイントでもあり掲載した。

三つのポイント

1.三〇万円以下の「金銭債権」を対象

 少額訴訟は、一定の金銭の支払いを目的とする特別の訴訟制度。事件の種類は金銭請求に限定され、物の引き渡し請求、金銭債務の不存在確認請求などは、訴額が小さくても少額訴訟手続によることはできない。
 「売掛金四〇万円の場合」については、“四〇万円のうち、とりあえず内金として三〇万円請求する”といった「一部請求」も可能。ただし、この訴訟が少額訴訟制度の趣旨に反するような請求であると判断された場合には認められないこともある。
 なお、訴額の上限の三〇万円は本体の請求額。したがって、たとえ遅延損害金などの「付帯請求」を合算して三〇万円を超えても、少額訴訟による審理及び裁判を求めることができる。

2.「即日判決」だから短期間で解決

 審理は原則として一回、直ちに判決を言い渡す。一回の口頭弁論で審理を終えることが相当でないと認められる場合以外は、その日のうちに判決を言い渡し、仮執行ができるというシステムになっている。
 なお、法務省が想定している審理時間は、一時間くらいとしている。

3.「和解」的判決のすすめ

 「和解的判決」とは、原告勝訴の判決を下す場合に、原告の同意を得ずに、被告の資力その他諸事情を考慮して、支払猶予、分割払等を命じる判決をいう。この和解的判決制度は、少額訴訟制度の創設で初めて認められたもので、原告にとっても費用と時間を費やして強制執行するよりは、結果的に“早く安く”回収をはかることができるように配慮している。


中小企業静岡(1999年 9月号 No.550)