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育つ組合の新たな芽

 いま世の中は、あらゆる分野で、時々刻々と大きな変革の嵐のなかにある。
 中央会の係る中小企業組合も例外ではなく、流動化が加速してきている。
 たとえば、最近マスコミなどにも登場する、耳慣れない“新中小企業”として、SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)がある。
 このSOHOとは、パソコンやインターネットなどの急速な普及発展によって、従来の“会社で仕事をする”という枠にとらわれない―在宅、つまり自分の家のなかにあって、個々人がもつ専門知識や経験を活かして活動するパーソナル・ビジネスといえる。
 こうした事業の形態というか、その有様は、いままでの「中小企業」という概念では捉えにくく、まさにニュービジネスであり、あえて言えば“新業”とでも表現しておきたい。
 こうした“事業らしくない企業”は、順次増加の傾向にあり、SOHOの人たち(事業者)による組合づくりの話も、もちあがっている。
 この種の組合は、いままでの組合というイメージとは、かなり趣を異にしている。
 たとえば、県内にある組合としては、中川根町の主婦が連携し、この地方の特産であるヘチマから化粧水を採って商品化し、さらに地域の農産品を加工した各種の工芸品づくりへと拡大している企業組合ニートリィ(組合員十九人)は、その典型的な事例である。
 また菊川町では、障害をもつ人たちが、ぞうさん企業組合(組合員十人)を結成し、手づくりのパンの製造販売を中心にして、実績をあげている例もある。
 このように、量的にはまだごく一部ではあるが、中小企業の組合にも、社会や時代の変化に即応しつつ、新しい芽が育っていることは、頼もしい限りであり、大いに期待したい。

静岡県中小企業団体中央会・会長


中小企業静岡(1999年 9月号 No.550)