背景には規制緩和に伴う競争激化が
こうした組合設立の傾向を決定付けている市場競争激化の背景の一つとして、規制緩和の影響は免れない。
特に、平成九年四月の水道法の改正に伴う指定工事店制度の見直しは水道工事業者関連組合に大きな影を落とした。これまで業者が市町村の指定工事店として水道工事業を開業しようとする場合、市町村が技術者試験等を実施し、資格認定は市町村ごとの実情に応じた判断に委ねられていたものが、市町村に代わり、国(厚生省)が試験を行うこととなり、合格すれば全国の自治体に指定工事店の申請が可能となった。この結果、大手企業や異業種が各自治体の指定工事店として新規参入が可能となり、一方において既存協同組合の存在価値を著しく低下せしめた。
十年度設立された水道関連三組合のうち、豊岡村上下水道(協)は市場激化への対応を図った新設なのに対し、他の二組合は旧組合が発展的解散をしたうえで、組合事業の必要性を訴える旧メンバーに新メンバーが加わり、新たな体制作りを行ったものである。
また、再販制度の廃止は化粧品小売業者の危機意識を高めさせ、四〇年続いた任意組織を法人化へ踏み切らせる契機ともなった。
五年ぶりの大規模組合の設立も
この静岡県化粧品小売協組(組合員二六八名)、そして静岡県塗装看板業協組(同四六五名)。県内一円を区域とする多数の組合員を擁する二つの業界組合が組織化されたのも特徴で、業界で一丸となって取り組む力を再認識させている。
近年はこの種の組合の設立が減少していただけでなく、擁する組合員数の多さでも目立ったものとなった。
平成元年度から九年度までの設立時一〇〇人以上の組合は僅か十二組合で、うち六組合が商店街又は商品券・サービスシールなどの発行組合。二〇〇人以上の規模となると協組沼津水産開発センター(平成元年・廃棄物処理・二四三人)、協組御殿場市商店街連合会(平成二年度・商品券発行・二五二人)、そして五〇〇人を擁した平成五年度の静岡県溶接工業協組(事務代行)に限定される。
研究開発型はコンスタントに誕生
研究開発型は三組合。今後もコンスタントに設立が続くものと思われる。その研究テーマをみると「環境」「省エネ」「自然派指向」がキーワードとなるものが続いている。
(企)ふく福のように地元産品の販売を主とした地域振興型の組合は一組合だったが、同様の動きは各地で見られる。
市町村で計画している保養・健康施設内での販売など行政との提携を念頭に置いたものも多い。
その他、設立の傾向として網羅しきれなかった点はあるが、以下、組合員数、主要事業、業種、出資金の項目別に少し詳しくみてみたい。
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